黴ブログ

好きなものやことを、徒然なるまま書き散らす。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 「ソルファ」を聴いた

先日のsyrup16gの記事に引き続き今回も、書いてなかったけど遅ればせながらレビューしてみようじゃないか企画を実施します。そんな今回は我らがアジアンカンフージェネレーションの新録盤・ソルファ。このアルバム、僕と同世代の、20代中盤の音楽ファンなら持ってはおらずとも、恐らく高確率で聴いたことがあるんじゃないでしょうか。

 

中学時代におけるアジカンと言ったら、NARUTOの主題歌だった遥か彼方で火がついて、鋼の錬金術師の主題歌のリライトで一気に爆発したって感じで、影響力が半端じゃなかった記憶があります。「お前普段ロックとか全然聴かねぇべや。。」て感じの、いけ好かない感じの、イケイケで何故か調子にお乗りになっている感じの、ウェイウェイうるせぇ感じの連中まで歌ってたもんな。学校指定のジャージずり下げ過ぎて、トランクス見せまくったりしてな!!!何それ見せパンかよ、それがこの国のオシャレか、パリコレかって思ってたな!!!そういうのあんまり好きじゃなかったな俺は!!!だからジャージすらもシュッとした丈で履いてたもんね俺は!!!後半ただの逆恨みだな。若干脱線しましたが、バンプエルレと並んで、当時のロキノン系バンドの御三家的立ち位置で、音楽ファンは元より、そうじゃない方々にまで浸透していたような印象があります。今のバンドで言うと、どのバンドがその立ち位置にいるんでしょうね。分かりませんが、とにかく今考えるとすごいムーブメントだったなあ、と思う訳です。

 

そしてこのソルファ、僕自身始めて購入したアジカンの記念すべきアルバムであり、ギター始めてからはほとんどの曲をコピーした程に好きで思い入れのあるアルバムなのです。コピーバンドもやったよあたしゃ。こりゃあ文をしたためねばなるめぇ。。とPCを開いた次第。という訳で本日のガチンコレビューはアジアンカンフージェネレーションの新録ソルファでございます。それではいっくよー!!

 

 

ソルファ (2016)(初回生産限定盤)(DVD付)

ソルファ (2016)(初回生産限定盤)(DVD付)

 

 

こちらのアルバムは、元のオリジナルのソルファ(2004年リリース)から12年たった今、再レコーディングという形でリリースされた作品。あの頃聴いていたソルファとは質感もフィーリングも違いますが、楽曲のカッコ良さや素晴らしさは変わらずに、今現在のアジカンにしか鳴らせない、正に2016年の新しいソルファになっていると感じました。

 

アルバム全体を通して、個人的に不安を感じていた、かつてのソルファを元からひっくり返すような露骨なアレンジの変化はあまりなく、02.リライトや09.Re:Reなど、ライブでのアレンジを反映させたバージョンが基本になっております。そうした中でシンセやストリングスなど、これまであまりなかったような音色がプラスされており、それによって全体的により曲に深みや奥行きのようなものが増しているな、一聴して感じました。そして個人的に感動したのが、バスやベースなどの低音部が強調された音質の変化。かつてのソルファのシャリシャリとした渇いた音像からのそうした変化によって、特に山田氏のベースがより鮮明になっています。
これまでどこか埋もれがちな印象だったのが一転、ベーシストとしてのカッコ良さが際立っています。
それによってベースの渋いフレーズは元より、演奏自体もより強靭でグルービィになっていると感じました。
リリースから12年たって得た、プロの迫力を感じさせます。
また楽曲の細かい歌いまわしや、コーラスの乗せ方、楽器の細かいフレーズなどが所々違うのもひとつポイントかなと思います。ソルファのあのがむしゃらな、どこか青さを感じさせるようなイメージとはまた違った、今現在の円熟味を増したアジカンを感じられてとても良いなあと。

 

ひと通り聴いて感じたのは、収録させれている楽曲自体は、かつてのソルファと同じでも、演奏、アレンジ、質感やフィーリングは正真正銘2016年現在のアジカンだなということです。度々話題に挙がる、どちらのバージョンが好きか?という視点ではなく、我々リスナーと同じく、12年たって様々な経験の中で変化し、そして成長したバンドの姿を楽しめれば、こんなに素敵なアルバム、なかなか無いんじゃないでしょうか。かつて我々が夢中になって聴いていたこれらの楽曲、変わった部分はあるけれど、あの頃の思い出と楽曲のカッコ良さは全く変わっていないのだから。個人的にずっと聴き続けているファンの人は勿論、かつて聴いていたが離れてしまった人、逆に昔のアジカンは知らないなあ、という若いファンの人、そんな方々にこそ聴いて欲しいアルバム。今も昔もソルファはやっぱり名盤ですな、と中学生の頃と同じくそんな風に感じました。是非。

 

本日のテーマソング

ASIAN KUNG-FU GENERATION/海岸通り(新録ソルファのこれ、滅茶苦茶良い)

 

syrup16g「darc」を聴いた

はろー、はうろー?思えば約1か月くらいの間何も更新をしていなかったですな。皆さんはお元気でしたか。僕はと言えば、仕事のことで悩んだり、プライベートなことで悩んだり、元気になったり、かと思えば食欲なくなってご飯が食べられなくなったり、ええいっもう知らねえ!と遊びに出掛けて元気になったりと、気持ち的には忙しい日々を送っていました。

どんな生活だよ!!!とのツッコみも聞こえてきそうではありますが、更新をしないながらも、別なサイト方ではちょこちょことレビューを書いたりもしておった訳で。本当はリリース直後にこちらでもレビューを載せたいと考えていたのですが、完全にタイミングを逃してしまいました。。泣

 

まあでも俺根はパンクロッカーだし?タイミングとか知らねえし?好きな時に好きなこと書くし?というなめ切ったテンションで、本日は遅ればせながらも先月リリースされた、私の青春、syrup16gのニューアルバム・darcの真面目なレビューを投下したいと思います。それじゃ、行きまーっす!!!

 

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それぞれのリスナーで、感じることは様々かと思いますが、個人的には今のsyrup16gのリアルな姿がそのままパッケージングされた良いアルバムだと感じました。

再結成後、HURT、krankeとリリースしての今作。内容としては、これらの作品の延長線上にありながらも、より分かりやすく際立ったメロディがとても印象的。再結成後、独特な不協和音的なコード進行を用いた楽曲が多い印象でしたが、今作ではそれらも上手く曲に溶け込ませているような気が。アルバムの曲順もあるのでしょうが、特に違和感も無くすっと入ってきました。

 

短いスパンでレコーディングされたとのことで、それによって今現在のバンドのモードや、五十嵐氏のパーソナルな部分もよく見えるような、ある種の生々しさも感じられる本作。酷評も多いようですが、僕はとても好き。

 

再結成後の楽曲と比べると、これまで難解な楽曲が多かったのに対し、曲が比較的シンプルでまとまっているような印象を受けました。そしてそんな曲に乗るメロディがどれもとても良いやん!と。独特ながらも美しいメロディに定評があるsyrup16gですが、そうした彼らの魅力が最も光っているのが今作ではないでしょうか。
ダウナーで深く沈み込んでいくような曲調ながらも、どこか開放感も感じられるようなメロの01.Cassis soda&Honeymoonに、今後のライブでのアンセムになりそうな、真空を彷彿とさせる疾走感のある02.Deathparedeと序盤から印象的なメロディで引き込まれます。
そして03.I’ll be thereに07.Murder you knowと、「普段音楽を聴かないような人も『良い曲!』と思うのではないだろうか。」なんて思いも湧き上がるような(大)名曲もしっかり収録されています。センチメンタルさと高揚感の中で

生き急いでるような景色を選んでみせたかったけど

君が側にいないのを誤魔化して来ただけなんだよ

syrup16g『I’ll be there』より引用 作詞作曲五十嵐隆

のフレーズがリフレインされる03.I’ll be thereには思わずうるっときてしまいました。そして希望が見えるような、陽性のメロディが飛び出す07.Murder you knowも素晴らしい出来。

 

また今回もダブルミーニングやダジャレ的な要素を盛り込んだ、これぞ五十嵐隆!な歌詞も盛り沢山な内容になっています。「これじゃない、これじゃない感」には少し笑ってしまいましたが。しかしシロップファンとしてはそんな歌詞も魅力のひとつではないかと笑
個人的にはグッドメロディ満載で、パンチのある歌詞もとても気に入っています。今後も彼らの音楽を楽しみにしていきたいです。未聴の方、是非。

 

本日のテーマソング

syrup16g/生活

 

あえて何も選択しない説

1週間ぶりくらいの更新。ハロー、今君に素晴らしい世界が見えますか。かーびーです。最近は「選択」ってめちゃくちゃしんどいなあ、なんて考えてしょぼしょぼとテンション低空飛行な生活をしておりました。

「選択って言っても何のこっちゃ!」と思ったそこのあなた!我々の生活というのは、日々小さな選択から成り立っているのだよ!

例えば、今日のお昼は何食べようかな、とか今日はどこに遊びに行こうかな、とか、何のお酒で晩酌キメようかしら、とかそれも全部選択。我々の日常を構築しているのは、そうした日々の些細な選択の連続なのです。

 

でもこの選択って奴は時に残酷なもので、どちらを選択しても誰かが必ずアンハッピーになってしまう、なんてケースもままあるもので。ほら、映画とか漫画でよくあるじゃない、「窮地に追い込まれて大ピンチ!どうするの俺!右か左かどちらかを選ばねば!しかしどちらを選んでも結構リスク多い!!アカン!!」みたいな割と重要度高いやつ。

 

まあ、映画や漫画程ではないにしても20代半ばともなると、個人の感情で選択してしまうと、周りに大ダメージ与える恐れがあるケースとかが増えてくる訳で。何なら誰も悪いことしてないのに、どちらを選んでも誰かが必ず悲しい思いをしなくてはならないような状況があったり。「何だこの状況。。こんなんどう転んでも全員アンハッピーになる未来しかみえねえよ。。」な状況がここ最近重なりまくっていた訳です。嫌なことって何か重なるよね。そりゃテンションも低空飛行になるわいな。

 

選択というものは、直感で決めれば良いのか、それとも様々なケースを予想して熟考した上でベストな方で決めれば良いのか、それとも全部覚悟した上で意見を通すべきか、実にケースバイケースな要素が大きくて、未経験な事柄ともなるとさらに難しく、優柔不断気味の僕としてはとても苦手なんですけども。

でも最近、あえて何も選択しない、自然の成り行きに完全に任せる、まさにレットイットビーなスタンスも悪くないんじゃないか、なんてことをふと思ったら少し楽になれた気がしました、ほんと。

 

勿論、完全なるビジネスの場ではそれじゃ絶対にダメなのだけども。でもあくまでプライベートな場面、個人的な場面や感情的な部分が多い場面でなら、それがベストじゃね?と。もうどうしようもねえなら運命に身を委ねれば良いんじゃね?それが結果的に一番在るべき処に行き着くんじゃね?的なやつね。

 

我々人間、色々な人と関わって生きている以上、思いがけないことや、予期していなかったことが起きるのは、考えてみれば当たり前のことで。そうしたら当然自分の力や努力ではどうにもならないことが起きるのも、また当然な訳で。

ならばいっその事、「そのうちなるようになるっしょ、その時また考えたらいいっぺ!」と思考を完全にブン投げてしまうのも意外と良い手なのでは、何てことを考えた25の夜でした。

ていうかこの曲を聴いていてふと思ったってだけなんだけどもね笑

 


ドレスコーズ - スローガン(AUDITION VIDEO)

 

”ふたつにひとつ”

くらべるなら どうせその程度だ、それは!

とか

そしてかならず うまくゆく

そう さだめなら

とか

選ばない ぼくらはあきらめる

ドレスコーズ『スローガン』より全て引用 作詞作曲志磨遼平)

とか、「あえて何も選択しない」ってモードを唄った曲なのだけれど、この人が歌うと凄い説得力があるなあ、と。毛皮のマリーズも好きだし、ドレスコーズになってからも好きです、僕は。話が脱線した気もしますが、最悪迷った時は運命的なものに任せてしまうのもまた一興かと。それでは、ばいちゃ!

 

本日のテーマソング

ドレスコーズ/スローガン

 

西加奈子「うつくしい人」を読んだ

想像を絶するレベルで寒い日が続いていますが、皆さんお元気でしょうか。休みの日には出かけたい派の僕もあまりの寒さに外出するのがはばかられる日が最近は多いです。持ち前の低血圧の影響か、気温が低いと頭痛が酷くて辛抱たまらんのですわい。そんなこんなで夜は貪るように本を読んでいます。寒くなってくると読書が捗るような気がするのは気のせいだろうか。。そんなこんなで今日は最近フェイバリットの小説家である西加奈子さんの、読み終わったばかりの小説、うつくしい人について読書感想文的に書こうかと思います。自分の気持ちを文字で表現するというのは、とても難しい、でも楽しい。さてさてそんなテンションで今日もいっくよー。

 

 

うつくしい人 (幻冬舎文庫)

うつくしい人 (幻冬舎文庫)

 

 

主人公は他人の目を常に気にしてびくびくと生きているOL・蒔田百合。自意識過剰過多な彼女は、会社での単純なミスがきっかけで会社を辞めてしまいます。そうした状況でほとんど衝動的に旅立った先は、瀬戸内海の離島にある、とあるリゾートホテル。そこで出会った風変わりな冴えないバーテンダー・坂崎と大金持ちでイケメンだが変わり者のドイツ人・マティアスとの交流の中で、失くしたはずの自分自身に気付き、再生していく5日間を描いたこの小説。全編通して特に大事件が起こる訳でも、熱い恋が展開される訳でもない、あらすじにするとこれだけのシンプルなストーリーなのですが、とても熱いパッションに満ちた、素敵な小説でした。

 

ちなみに皆さんは他人の目を気にして生きている方でしょうか。常に周りの人や友達の評価を気にして、周りの「良い」と言ったものや空気に従い、目立たないようにしよう、本当の自分なんて出さないようにしよう、上手くやっていこう、みっともない、ダメなやつ、なんて思われないようにしよう、何なら皆に羨ましがられる自分でいよう。そんな気持ちでいることはないでしょうか。現代社会で生活する上で、大なり小なりはこういった気持ちになることが、誰しもあるのではないでしょうか。しかしずっとそれだけでは、心が辛くなってしまうのもまた事実。本作の主人公は正にその典型的パターンのような人物。むしろ、それをずっと昔から続けてきた超自意識過剰なタイプで、うーむ、本当にめんどくせぇ奴。お前それはどうなのよ!?なんて言ってやりたい気もするのですが、読んでいく程に自分の中にもそんな主人公のような自分がちらほらと存在することに気付くのです。むしろかなり多く存在する、そんな「めんどくせぇ」自分自身に気付いたら、嫌悪感を抱きつつ(自己嫌悪かもしれん)夢中になって読んでいる僕がいました。

 

タイトルの「うつくしい人」とは一体何だろう。それは本文の言葉を借りるなら、『ただ「自分」であり続け、その「自分」の欲望に従って生きること』。大事な自己を失くしてしまった主人公が、自分を取り戻し再生するきっかけとなった、坂崎やマティアスも一見風変わりで、実に様々な問題を抱えていますが、それでも彼らはどこまでも自分自身で居続ける、「うつくしい人」でした。そして百合が最もコンプレックスを抱く、超自意識過剰の元となった姉もまた、どんなにひどい状況でもただひたすら自分自身で居続ける「うつくしい人」でした。そしてそんな「うつくしい姉」と対極の醜い空っぽの自分から全力で逃げるような、非常に重い前半から一転して、自身の本当の気持ちに気づいて、自己を取り戻していく後半のスピード感がとても気持ち良かった。涙腺をグイグイ刺激するような、まさに「美しい」シーンやセリフに引き込まれた一冊でした。3人でホテルのカートに乗って深夜に道路を疾走するシーンや、地下の図書館で写真を探すシーンなど、とても胸に響く場面がたくさんありました。

 

自分が誰かを美しいと思っている限り、そんな想いは巡り巡って、自分もまた、誰かにとっての「うつくしい人」なのだ。そんなことを短いながらも圧倒的説得力で書ききったこの小説、とても面白かったし、感動した。西加奈子さんの小説はどれも、「それで良いんやで、間違ってないんやで!!」と肯定し、背中を押してくれるような作品が多い気がします。まるで少年時代に夢中になって聴いていた音楽のような、そんな小説を書いている素敵な作家だと思います。まだまだ未読の作品が多いので、これからどんな小説に出会うかとても楽しみでもあります。毎日面白くないようなことも多い日々、自分自身に疲れることも嫌いになることも自信が消え失せることもままありますが、そんな僕自身もどこかの誰かにとってはきっと「うつくしい人」なのでしょうね。誰かを羨んだり、想ったりしつつも美しくただ自分自身でありたい、そんな気持ちで明日もまた駆け抜けていこうと思う次第であります。

 

本日のテーマソング

毛皮のマリーズ/ビューティフル

 

きのこ帝国「愛のゆくえ」を聴いた

はろー、はうろー?かーびーでござる。本日は11月2日にリリースされたばかりの、バンド・きのこ帝国の新譜・愛のゆくえについてのガチンコレビューを書きたいと思います。久々のレビュー記事でございます。レビューと言えば私、高校時代の夢のひとつが音楽雑誌・ロッキングオンジャパンの編集ライターになることでした。時代は流れ、今では全く関係の無い職に就いている訳ですが。時間の流れというものは恐ろしい。という訳で今回は、そんな憧れのロッキングオンジャパンのディスクレビュー風に記事を書いていこうと思います。それじゃいっくよー。

 

愛のゆくえ(通常盤)

愛のゆくえ(通常盤)

 

 

「愛のゆくえは、君のもとに。」聴き終えて真っ先に、そんな言葉が浮かびました。前々作・フェイクワールドワンダーランドから続いた、一連の愛の物語の到達点のような、そんな風景を見せてくれた、このアルバム。名盤と呼んで差し支えない、素晴らしいメジャーセカンドアルバムになっています。

前作の猫とアレルギーでも、その傾向は見られましたが、バラエティ豊かなアルバム内容で、どこかとっ散らかったような印象があったのも事実。そこでこのメジャーセカンドアルバム。アルバムを通して歌われるのは「君」や「あなた」に向けた真摯な、そして何かを決意し覚悟したような愛について。それを「これぞきのこ帝国!!」な楽曲と演奏で美しく鳴らされる本作。これまでの全作品を踏まえて、正に今現在のきのこ帝国にしか鳴らせない音楽になっていると思います。いちファンとして、こうした作品を完成させたメンバーに賛辞を贈りたい気持ちでいっぱいです。

初期の彼らを髣髴とさせる、どこか愁いを帯びたシューゲイザーサウンドの01.愛のゆくえから始まる本作。続く02.LAST DANCEや03.MOON WALKでは、シティな雰囲気の音像でアダルトな姿を見せます。インストゥルメンタルの04.を挟み、05.夏の影ではこれまであるようでなかった、しかしきのこ帝国節炸裂!なサイケなナンバーが飛び出します。そして音は表情を徐々に変えながら、何か悟ったような、愛の到達点とも言うべき、08.死がふたりをわかつまで、09.クライベイビーで静かな、それでいて確かなエモーションを燃やしてアルバムは幕を閉じます。

ここ数年彼らの音楽を聴いてきましたが、これまでの全作品の集大成のような作品になっているように感じます。しかしそれが過去作品の焼きまわし、又はある種の原点回帰になっているかというと、決してそんなことは無く、どこかサイケな香りのする新機軸も盛り込みながら、進化した、正真正銘の今を鳴らしているように思いました。そして今回、どの曲も素晴らしく、メロディーが良い!どの曲も、一聴してきのこ帝国と分かる、寂しいような、懐かしいような、しかし暖かくて力強い、ふと口ずさんでしまいそうな、グッドメロディが盛り沢山です。短いながらも、コンセプチュアルでまとまった印象もある、今作。

最近のボーカル・佐藤氏のパーソナルな部分もよく見えるような歌詞にもぜひ注目して頂けたらと思います。初期に見られたような毒や刺々しさは無いかもしれませんが、そうした歌詞とメロディ、演奏がよく合わさった、実に説得力のある確かな名盤になっていると思います。
メジャー進出によって離れてしまった人もいるかもしれませんが、個人的にはそういった人にこそ聴いて欲しい1枚。きのこ帝国のこれからに、目が離せません。

 

ということで今回はレビュー記事でお送りしました。きのこ帝国、とても良いバンドなので未聴の方、ぜひ聴いてみてはいかがでしょう。今月はこれからsyrup16gの新譜も出るし、来月には銀杏BOYZのトリビュートアルバムも出るとのことで、今からとても楽しみ。こちらももしかしたらレビュー記事書くかもしれません。キッズの頃から好きなバンドが今でも活動していて、新譜を聴けるというのは、活動休止や解散も多い中でとても幸せなことなのだと、最近思います。予定が合えばまた学生時代のようにバリバリライブに行ったりもしたいです。それでは今日はこの辺で。アデュー!!

 

本日のテーマソング

ClariS/ナイショの話

歌手・新垣結衣が素晴らしい件

はろー、はうろー?僕はそこそこ元気だ、かーびーです。ハロウィンが過ぎ去ったら早いもので、次はクリスマス!みたいな雰囲気を感じなくもない今日この頃、皆様お元気でしょうか。普段あまりテレビは見ない方なのだけれど、最近どうやら新垣結衣主演の「逃げるは恥だが役に立つ」というドラマが大好評のようですね。中学時代から新垣結衣さんの大ファンである私としては、何かとても嬉しいような、誇らしいような、ドラマも全然見ないで何言ってんねん!!て感じですが、そんな気分でいます。何だろう、笑った感じとか、空気感もとても素敵だし、バラエティに番宣で出演した時に時折見せる無表情の瞬間とか、そんなとこも含めてとても好きだな、俺は。かつてレギュラーで出演していたラジオ番組・スクールオブロックも毎回楽しみに聴いていたし、何なら好き過ぎてファンレターとかも出したことあるぞ、もうどこがどう良いとか説明出来ないレベルで好きだな、俺は!!!(キモくなって来たのでそろそろこのノリやめよ)と、まあ思わずハイテンションになってしまう位にファン丸出しな訳なのですが笑彼女、かつて歌手としてCDをリリースしていたのをご存知でしょうか。

 

そら(DVD付)

そら(DVD付)

 

 

こちら、2007年発売のデビューアルバムとなった、1st「そら」。続く2009年には2nd「hug」を発売、と精力的に活動していました。残念ながら現在ではこうした活動は休止していますが、これらのアルバム、人気女優のちょっとした企画ものだと侮ることなかれ。枚数こそ決して多くはないですが、どれも音楽好きにこそ聴いて欲しい、びっくりするくらいの名曲・名盤ぞろいなのです。

 

まずは映画「恋空」の主題歌にもなった、彼女の代表曲・heavenly days。センチメンタルで美しいメロディに、透明感のあるウィスパーボイスで切々と歌われるこの曲。「え。。何で急に歌手活動。。?大丈夫なん。。?」と不安もありつつ初めて聴いた高校時代、そのあまりの楽曲のクオリティに、発売当日にCDショップへ買いに出掛けたのを覚えています。正直、ボーカリストとしては決してテクニックで聴かせるような上手なタイプではないと思うのですが、それ故に自身の声の特徴をフルに活かして、不安定な歌声の揺らぎが何とも叙情的な雰囲気を醸し出している1曲。感情をフルに込めたようなその歌唱がとても魅力的で最大の武器として機能していると感じます。

 

また、かの有名なモンゴル800の小さな恋のうたのカバーも実に魅力的な1曲です。どこかで聴いたことがある人も多いのでは。多重録音したボーカルパートが実にシューゲイザーチックな効果を出していて、澄んだ浮遊感ある歌声を更に際立たせています。またこれは彼女の多くの楽曲に共通していることですが、曲のテンポをローからミドル辺りで統一させているのも、声や歌い方に凄くマッチしていて何とも形容しがたい、素敵なフィーリングを生み出しています。そして楽曲提供しているアーティストが、安藤裕子スネオヘアーつじあやのメレンゲのクボケンジ、Charaくるり岸田繁(敬称略)ect..と実に多彩で非常に熱い面々。リリース当時あまり話題に上らなかった記憶がありますが、こうした熱い面子による楽曲に、自身の魅力や武器を最大出力で放出したような彼女の歌。駄作が出来上がるはずもなく、どの作品もヘビロテ確定な名盤ばかり。アップテンポでノリノリな楽曲は少ないながらも、夜の眠る前や、ボーっとしつつひとりでいる時などにヘッドホンで静かに聴きたい、すぅっと胸に沁み込んでくるような素敵な楽曲がたくさんあるのです。

 

さてさて、ドラマが話題になっている今がチャンスや!!!と謎の使命感とファン丸出し加減で疾走した感もしないでもないですが、いかがだったでしょうか。彼女のファンの方、むしろそうでなくても何か素敵な曲に出会いたいという方、是非とも聴いてみて欲しいです。紹介したかった曲がまだたくさんあるのですが、全くあがっていなくて紹介できないのが辛いところですな、個人的に。これからもいちファンとして陰ながら応援していきたい、とかそんなことを思いました。それでは本日はこの辺で。良き日を、ばいちゃ!!!!

 

本日のテーマソング

bump of chiken/とっておきの唄

 

私的、月が綺麗な夜に聴きたい4曲

規則正しき健康生活の為、最近ビタミンCと乳製品をよく摂取しています。はろー、はうあーゆー?かーびーです。最近ネットの記事で見かけた、かつて夏目漱石はI love youを「月が綺麗ですね」と意訳した、という話がとても印象的で、秋というのもあって溢れ出るロマンチックさとセンチメンタリズムに打ちのめされていました。何でも、かつて「我君を愛す」と訳した生徒に「日本人はそんな風に言わない。月が綺麗ですね、と意訳すれば相手に伝わるだろう。」と言ったというお話。日本情緒溢れるとても良いエピソードだなあ、と感心しておりました。ちなみに二葉亭四迷は、yours(私はあなたのものよ)を「死んでもいい」という風に意訳したらしい。こちらも何だかとってもロマンチック。こんなセリフ、一度で良いから使ってみてぇな。。と思うものの、きっと僕のようなものが実際に使ったならば、「え、ああ、そうですね。(何こいつ、いきなりキモッ!!!)」となるのが目に見えていますね、正に完全なるギャグ。そこをこうもロマンチックに決める文豪たちのセンス、とても素敵だなと思った訳です。

 

前置きが長くなってしまいましたが、そんな訳で今回は個人的にチョイスした、月が綺麗な夜に聴きたい音楽をご紹介したいと思います。残念ながらここ数日は天気も悪く、あまり綺麗な夜空を見れていないのですが、会社や学校帰り、夜のお散歩の途中と、綺麗な夜空と一緒に聴きたい、ナイスな曲を趣味全開でご紹介します。

 

https://itunes.apple.com/jp/album/%E9%A7%86%E3%81%91%E6%8A%9C%E3%81%91%E3%81%A6%E6%80%A7%E6%98%A5/160102314?i=160102443&uo=4

 

 

まずはこちら、僕の青春。銀杏BOYZの駆け抜けて性春。溢れんばかりの全力のテンションでひたすら疾走する彼らの超名曲。一歩間違えば楽曲そのものが崩壊しかねない程の剥き出しの演奏の中で、ひたすらに美しくロマンチックなメロディと歌詞が光ります。よくよく考えてみたら、

 

あなたがこの世界に 一緒に生きてくれるのなら 死んでもかまわない あなたの為に

あなたがこの世界に 一緒に生きてくれるのなら 月まで届くような 翼で飛んでゆけるのでしょう

銀杏BOYZ『駆け抜けて性春』より引用 作詞作曲峯田和伸

 

 

と、歌詞が最初に挙げた夏目漱石二葉亭四迷の意訳と通じるところがありますね。ボーカル・峯田氏の歌は、こういう何気ない日常にある出来事や感情をセンチメンタルながらもロマンチックに描き出したものが多い気がします。ちょっとおセンチな夜にひとりでイヤフォンで聴きたい、そんな曲です。

 

https://itunes.apple.com/jp/album/wonderwall/425603157?i=425603173&uo=4

 

 

続いては、伝説的UKロックの雄、OASISの名曲、Wonderwall。ギタリストのノエル・ギャラガーが当時のガールフレンドに向けて書いたとされるこの曲。シンプルな構成で淡々とした印象ですが、それ故にメロディの良さや楽曲の持つ叙情的な面が強調されているように思います。ラスサビでリフレインされるメロディがより切実さを感じさせますね。この曲、歌詞もとても素晴らしいので興味のある方は是非調べてみて欲しいです。ふと遠くの誰かを想うような、そんな気持ちの時に聴きたい1曲。

 

https://itunes.apple.com/jp/album/%E5%8F%8B%E9%81%94%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%95/1186255698?i=1186255947&uo=4

 

日々生活するというのは、老若男女関わらず、戦いの連続です。自分との、ライバルとの、嫌いな誰かとの、世の中との、誰かしらその戦いの渦中にいるような気がしているのですが、そんな日々に疲れた時にふと夜空を見上げながら聴きたくなるのがこちら、エレファントカシマシの友達がいるのさ。ボーカル・宮本氏の魂のこもった歌が「また明日も頑張ろう。。!」とそんな気にさせてくれる名曲。その力の籠った歌詞や楽曲に大切な誰かの顔が浮かぶようで、尻を叩かれるような気持ちになりますね。仕事終わりの帰り道で聴きたい1曲。

 

https://itunes.apple.com/jp/album/i-still-remember/372158613?i=372158720&uo=4

  

最後はこちら、イギリスのロックバンド・Bloc PartyのI Still Remember。楽しげでもあり、寂し気でもあり、何となく懐かしさも感じる、それでいてめちゃくちゃポップ。リフレインされる

 

I Still Remember(僕はまだ覚えている)

 (Bloc Party『I Still Remember』より引用 作詞作曲Bloc Party

 

というフレーズと耳に残るギターのメロディがとても印象的ですね。歌詞は学生時代の、報われなかった恋愛について歌っています。どことなくノスタルジックな曲のイメージと詞がぴったりとマッチした素敵な曲。夜のドライブデートや、楽しく遊んだ帰りに聴きたい曲ですね。楽しい一瞬が過去に変わったとしても、ずっと良い思い出になるような、そんな思い出をふと思い出すような1曲。

 

全部で4曲紹介しましたが、いかがだったでしょうか。どれも思い入れのある曲ばかりなので、コンパクトにまとめるのが大変でした。。笑(その気になれば1曲で1本記事が書けるくらいの勢い)どの曲も、月の綺麗な夜にぴったり合う素敵な曲ばかりなので、そんなシーンでぜひぜひ聴いてみて欲しいです。ちなみに今回は曲単体でのご紹介でしたが、ここで挙げたバンド、他の曲も素晴らしいものばかりなので、興味のある方、ぜひアルバムでも聴いてみてはいかがでしょうか。いやはや、やはり音楽というものはとても良いものですね。まだまだ知らない素敵な曲がたくさんあると思うと、これからのどんな音楽に出会うか楽しみになってきます。では、今回はこの辺で、ばいちゃ!!!

 

本日のテーマソング

The Birthday /なぜか今日は