銀杏BOYZのニューシングル「骨」、ロマンスがありあまってる件
先日発売されたばかりの銀杏BOYZのニューシングル、「骨」を聴いた。こちらの「骨」は、前作「エンジェルベイビー」に次いで3か月連続シングルリリース企画の2作目となるニューシングル。収録された2曲共キラキラと輝いていてとても優しさを感じられる、バンドの持つロマンチックな面を存分に堪能出来るような1枚に仕上がっているように思いました。
表題曲となる01.骨は、2016年に安藤裕子氏へ楽曲提供し、NHKドラマ「奇跡の人」のエンディングでは峯田氏のソロ音源として使用された楽曲の、バンドアレンジバージョン。
衝動的で激しくどこまでも熱い。一聴して、そんな時に過剰で愚直なまでにエモーショナルなバンドのイメージと雰囲気は今作では殆ど見られないように感じました。しかしバンドの初期から、いやむしろGOING STEADY時代から見られたバンドのもうひとつの魅力である、甘くロマンチックで優しい部分がこれでもかと前面に出した、キラキラとしたアレンジに仕上がっているように思います。そして僕は銀杏のそんなところが大好きだったりする。
昔からその激しさや過激さばかりが語られることが多い彼らだけれど、峯田氏の歌詞表現の核にはいつだって「僕と君の世界」とも言うべき、YOU&Iの精神があるように個人的には思っていて。
かつて「駆け抜けて性春」や「もしも君が泣くならば」がそうだったように、「BABY BABY」や「東京」や「夢で逢えたら」で僕らが惚れたように、銀杏BOYZには激しさや過激さより前に圧倒的なロマンチックさがあった。
夢が叶うなら 命も惜しくないわ
のフレーズが示す通り、以前程の激しさこそないものの、今作でもそんな少女漫画の世界観にも匹敵しそうな程のイノセントでロマンチックさが溢れている。まじロマンスがありあまってる。
前作のエンジェルベイビーも個人的にど真ん中な1曲だったけれど、今回も楽曲が持つ本来の魅力を最大限引き出したような、ナイスな1曲になっていると感じました。
安藤裕子氏のアルバム「頂き物」に収録されているバージョンもそうだけど、今作も僕はとても好き。
安藤裕子氏へ楽曲提供した際は、自身の子どもと接する安藤裕子氏を見て書いた楽曲とのことで、アルバムでは自身の子どもに向けて歌っているようなイメージだったけれど、個人的に今作では愛しい恋人や好きな人に対するような、ごく近くで当たり前のようにいる愛しい誰かに向けて歌っているような、そんなフィーリングを感じる。
考えてみれば、峯田氏の歌はいつだって不特定多数の誰かに向けてというよりも、誰か特定の人に向けて歌っているような、マイクやスピーカーの向こうの誰かひとりに向けて歌っているような気がする。
そんな優しい愛の溢れるような峯田氏のいつも以上に甘く優しい歌声に乗る、どこかフォーキーでグループサウンズの香りもする、ミドルテンポで激しさを抑えた演奏。一言で言って最高。グッと惹かれるような、とても素敵な曲だと思う。
カップリングの02.円光は、かつてファーストアルバムDOORに収録された「援助交際」のニューバージョン。
衝動と童貞感と切なさと愛しさが同居したようなテイストが印象的な名曲だけれど、今作ではキラキラとときめくようなダンサブルでポップ感の強いアレンジで収録されている。
サビのメロディがアレンジに合わせて変わっていたり、歌詞が
あの子のIDをゲットするため 僕は生まれてきたの
に(時代に合わせてなのかな)変わっていたりと、原曲との違いも含めて楽しめるような、初期からのファンにとって実に、楽しい1曲になっているんじゃないかなと。
ドラムのリズムも跳ねるようなどこかディスコ感のある演奏で、元のあの自暴自棄でやけっぱちでぐしゃぐしゃさとセンチメンタルが融合したかのような曲を考えると実に驚きなアレンジ。
しかしそんなアレンジも違和感なく不思議とマッチしており、完全に別の曲として、タイトルを変更したのも頷けるような、1曲の完成されたキラキラとしたときめきに満ちた、昨今の銀杏BOYZを象徴するような新曲として聴かせてくれる。「円光」のタイトル通り、「援助交際」とはまた違う魅力に溢れた楽曲で、個人的にこちらもすごく好きなツボをグイグイ刺激される1曲。
今回のシングル、2曲共これまでとはまた違ったアプローチで銀杏BOYZの魅力を示すような楽曲で、新鮮さと驚きに満ちた、実に素敵な1枚になっていると思いました。
来月リリースのシングルも今からとても楽しみ。学生時代に心を撃ち抜かれて以来、ずっと好きで活動を追っているバンドのひとつとして、これからの彼らも、とても楽しみになるような良いシングルだと思う。未聴の方、未チェックの方、是非。
本日のテーマソング
マヒトゥ・ザ・ピーポーfrom GEZAN/み空