黴ブログ

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終わったつもりでもそうじゃねぇ eastern youthの新作「SONGentoJIYU」を聴いた

先日リリースされたばかりのeastern youthの新作「SONGentoJIYU」を聴いた。9月末に更新した記事で、先行公開されたソンゲントジユウを挙げさせて貰ったばかりだが、その名曲具合に負けない渾身の傑作であった。

 前作まで長い間ベースを務めた二宮氏脱退から、新メンバーに村岡ゆか氏を迎えてから初のeastern youthのニューアルバムである今作。「どうなるんだろう?」という不安と「イースタンならきっとこれまで以上にやってくれるはず!」という期待に、リリーズ前から待ちに待ったアルバムだったのだけれど、流石我らがeastern youth

ブチ上がった期待を裏切るどころかあっさりと越えていく、凄まじくカッコ良い新譜を届けてくれました。

 

SONGentoJIYU

SONGentoJIYU

 

 
一聴してまず驚いたのは村岡氏の巧みなベースの溶け込み具合。まるで長いこと一緒に活動してきたかのように、音楽にぴったりと寄り添いながらも、確実にバンドの音に新たな色を加えている。
ダイナミックに動き回るベースラインに加えて、時に和音を交え、時にスラップでファンキーにキメ、時にバックで正確にリズムを支えて、時にコーラスで曲に新たな表情を付けてと、新生eastern youthにおけるその存在感とセンスに脱帽。かつてbloodthirsty butchersに田淵ひさ子氏が加入した時のように、完全に確立されたと思われたその音楽に、演奏にまた新たな息吹を吹き込んでいるではないか。おおお、カッコ良い。

そんな本作「SONGentoJIYU」。アルバム全編を通して、かつてない程にほとばしる明るさとポジティブさに満ち満ちた、実にガツガツとしたハングリー精神の塊のようなアルバムになっているように感じました。
これまで一貫して歌われてきた怒りや焦燥感や力強い決意といった、良い意味で人間臭く泥臭い人間賛歌。そんなこれぞeastern youth!とも言うべきパワフルな楽曲に加えて、今回心をギュッと掴まれたのは「それでもやっていこうぜ!」と言わんばかりの圧倒的な明るさとポジティブさ。

そう、とにかく前向きで明るいんである。それも「きっと大丈夫だょ。自分も未来も信じて頑張ってLIけばき㋡と夢わ叶ゥょ☆」なんてのたまって根拠のない明るさをぶん投げて渡すようなポジティブではなく、絶望も悲しみも全部を全部受け入れた上で「かかってこんかい!」と宣戦布告するようなポジティブさ。

 

疾走感のあるメジャーコードが、暗闇を抜けた後のように爽やかに響き渡る07.口笛吹いて駆け抜けろでは、陽性のメロディに乗せて

割といい感じの気分なら 飛べそうな気もする

と力強く歌い出し、

ため息をみんなヤケッパチの歌に変えて今

超えてゆく 俺の答えさ

eastern youth『口笛吹いて駆け抜けろ』より引用 作詞作曲吉野寿

とアクセルを全開に踏み込むようなサビへと突入する。かっけぇ。最高か。

続く08.旅の空では変拍子的でテクニカルなドラムフレーズに乗せて、

立ち止まったって終わらねえ 終わったつもりでもそうじゃねぇ

と力強く決意表明。サビでは

あと一歩もう一歩 来る日も来る日も

あと一歩もう一歩 どこまでいっても

eastern youth『旅の空』より引用 作詞作曲吉野寿

とこれからも歩き続けるわ!と言わんばかりの、強い意志を感じさせるフレーズが心にじんわりと響く。

 

二宮氏の脱退から活動休止期間を経てリリースされた本作。長い長いトンネルを抜けた後で、終わったつもりでもそうじゃねぇ!と悔しさや苦しさをも超えて明るく全開でぶっ飛ばすような、世に溢れる困難やふと立ち止まってしまう瞬間にも果敢に立ち向かっていくような、そんな素晴らしい「歌」が詰まった良いアルバムだと思いました。
そこで鳴り響ているのは絶望や悲しみや苦難をも振り切って、歩いていく力強さと希望に満ち溢れた圧倒的なロックンロール。

 

日々生活していく上で壁や困難に足止めを喰らって、「もう終わりだ、もう前には進めねえ」と思わず呟いてしまう瞬間は数多い。けれど「もう終わり」と決めつけるのはいつだって自分自身で、そこから立ち上がって立ち向かっていくのもまた自分自身。eastern youthがいる限り、立ち止まったって終わらねぇ終わったつもりでもそうじゃねぇ、とどこまでも歩いて行けそうな気がします。

「よっしゃ、いくぞ!」と気合を入れたい、秋晴れの気持ちの良い朝に聴きたいアルバム。まだ未聴の方、是非。

 


eastern youth「ソンゲントジユウ」 ミュージックビデオ

 

本日のテーマソング

jimmy eat world/sweetness