黴ブログ

好きなものやことを、徒然なるまま書き散らす。

どこまでも人間臭いそんなあなたが好き syrup16g『delaidback』発売決定

先日アマゾンにて、「お客様におすすめのニューリリース」の欄をボケーっと眺めていたところ、その中に「syrup16g」の文字を見つけた。どうやら来たる11月8日に「delaidback」という新譜が発売されるらしい。うおお、マジか。たまにはニューリリースの欄も見てみるものですね。知らずにスルーするの回避出来て良かったわい。嬉しくて思わず、うひょひょひょ!と部屋で小躍りしてしまいましたよ、ぼかぁ。

 

delaidback

delaidback

 

 

かつての名盤「delayed」や「delayedead」に次いで、「ディレイ」をタイトルに冠した本作。期待値がブチ上がる中、公式サイトをチェックしてみるとどうやらライブでのみ演奏されて、これまでCDには収録されていない楽曲を音源化したものらしい。今や伝説となった2013年の五十嵐隆氏の復活ライブ・生還で演奏された「赤いカラス」や「透明な日」といった楽曲から、古いものでは97年頃の「開けられずじまいの心の窓から」や「夢みたい」といった楽曲も収録されるとのこと。今から楽しみ過ぎる。ドキがムネムネだわいな。

 

そんな中でも特に、当時生還ライブのチケットが取れずに悔しさの中、DVDを発売当日にタワーレコードにカチ込んで入手した僕としては「赤いカラス」の収録に喜びを隠せない。syrup16g解散後に結成されて音源のリリースもないまま解散した、犬が吠える時代に作られたこの楽曲。生還ライブのDVDにて始めて聴いたのだが、哀愁が凄い。そしてビックリするくらい良い曲。

 

何も出来ないまま、無為に時間を浪費するだけの自分を嘲るように、淡々と進行するこの曲。それでいて寂しく肩を落としながら、弱音をポツリとこぼすような風景が浮かぶ美しいメロディと演奏に、DVDを観ながら友人と「この曲、すげぇや。。」と夢中になって聴いた思い出。何というか、頑張ってもダメで、上手にやれなくて、でもそれじゃ生きていけなくて。そんなしょうもないクソッタレな自分を、「ヘヘッ」と笑いながらも泣いているような哀愁を感じて、どうしようもなく心をギュッと掴まれてしまったのである。

 

しかし考えてみればこの人はいつだってそうで、自分のことを怖いくらいに冷静に客観視して「俺全然だめだなあ、ヘヘッ」と嘲りながら下向いて歩いているような、そんな気がする。いってしまえばダメ人間度合がありあまる程にバリバリなのだが、そんな姿がどこまでもリアリティがあって、「ダメだなぁ、この人」なんてどうしても笑えない。何故か心をギュッと掴まれてしまうのである。どうしてこうもsyrup16gの音楽に心惹かれてしまうのかといえば、人が誰しも蓋をしがちな暗い部分に光を当てるような、そんな圧倒的なリアリティと人間臭さがあるからなんだろうなーと思う。

 

「暗い」だの「鬱ロック」だのいわれがちだけれども、彼らの音楽の魅力はそんな表面的な部分では無くて、そうしたどこまでも人間らしい、人間臭さにあるのではないだろうか。

 

の僕の大好きな曲のひとつに、「明日を落としても」という曲がある。もしも人生で影響を受けた曲10曲挙げて、といわれたら確実にランクインする1曲だ。

 

機械みたいな声でサヨナラされて それでも何か傷ついて

誰も愛せなくて愛されないなら 無理して生きてることもない

明日を落としても 誰も拾ってくれないよ それでいいよ

syrup16g『明日を落としても』より引用 作詞作曲五十嵐隆

 

と、厭世的な気分を引きずって、どこまでも自暴自棄で突き放したような言葉を呟きながらも、曲中そんな言葉を吐くことで物事から目をそらしてごまかしてしまう自分を皮肉ったりしている。これで済ましてしまえばただ「暗い」で終わってしまう。しかし曲の後半部分、ボルテージを上げて疾走するようなギターソロの中で「Do you wanna die?」とシャウトを繰り返して曲は終わるのである。

 

「無理して生きてることもない」と突き放してごまかしながら生きる自分に、「それでお前、本当に死にたいの?」「本当にそう思ってんの?」と叫び、問いかける。そこに明確な答えは無いけれど、「かといって本当に死にたいのかよ?そうじゃ無いんじゃないの?」と葛藤する感情の揺らぎが込められている1曲だと思う。

 

「この曲はそんな曲じゃねーよ!あっちに行け!」という意見もあるかもしれないけれど、syrup16gの音楽を聴くたびに僕は、そんな一見矛盾したような、どちらにも振り切れずにもがくような、行き場の無い感情の揺らぎに突き抜けた人間臭さを感じてしまうんである。そしてどうしても心を揺さぶられてしまうのだ。

 

ネガティブかポジティブか、性格の傾向は人それぞれだけれどほとんどの人はそこまで極端ではなくて、その中間の「ネガティブな部分はあるけれどなるべくポジティブに頑張ろうとしている人」に当てはまるのではないかなーと思う。syrup16gの楽曲は僕を含めたそんな人たちの心の奥底にあって時々顔を出す、そんな部分に容赦なくグサグサと突き刺してくる音楽だと思うのだ。

 

中には痛いよぅ痛いよぅ、と拒絶する人もいるかもしれない。「そんなん気にせず上げていこうゼー!うぇーい!」という人もいるでしょう。しかし時にネガティブで時にポジティブな僕らには、テンションブチ上げ系の曲では踊れない日もある。そんな歌をやけに聴きたくなる時があるし、そんな歌がやけに優しく響く時がある。

 

そんな時彼らの音楽はいつだって、側にいてくれるような気がする。「あー分かるよ、しんどいよねぇ。。」なんて言いながら。そんなどこまでも人間臭く優しい、syrup16gの歌が僕は好き。

 

いやはやどうも長くなってしまった、乙女の手紙か。ではでは本日はこの辺で!delaidback、今からとても楽しみ。ばいちゃ。

 

本日のテーマソング

GRAPEVINE/everyman,everywhere