黴ブログ

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嗚呼 素晴らしきフェンダー・ジャズマスター

昔のフォルダを漁っていたらめちゃんこ懐かしい画像が出てきたので、余りの部屋の汚さに若干引きつつも晒してみようと思う。画像は僕が人生で始めてローンを組んで購入した、フェンダーUSA製のジャズマスター。購入してからというもの、健やかなる時も病める時も実に多くの時間を過ごしてきた、相棒ともいえるギターだ。

 

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ジャズマスター愛が衰えるどころか、日に日に増していくのを感じている今日この頃。最近ひとつ思うことがある。ジャズマスターを使ってるギタリスト、増えてない?

 

ここ数年、ライブ会場に足を運んだり音楽をチェックしたりすると、ジャズマスター使いに遭遇することが多い。アマチュアのギタリストのみならず、前回紹介したsyrup16gの五十嵐氏や銀杏boyzの峯田氏、[Alexandros]の川上氏にストレイテナー大山純氏などのプロミュージシャンも近年ジャズマスターを弾いていたりする。その人気ぶりに、ギターマガジンにて「逆襲のジャズマスター」なる特集が組まれたのも記憶に新しい。

 

これ、絶対に増えてるよね。ジャズマスターの宝石箱や。ジャズマスターパンデミックや。そりゃまあ、著名なプレイヤーが使えば人気が出るのは当然なのだけれど、どうしてここまで多くの人を惹きつけるのだろうか。ジャズマスターをこよなく愛するものとして、ジャズマスターの魅力を一方的にアツく語っていきたいと思う。

 

素晴らしきジャズマスターの魅力

 

まずジャズマスターの何が良いって、単純に見た目がカッコ良い。レトロで左右非対称のデザイン。座って弾くとボディ横の窪みが太ももに丁度良くフィットして良い塩梅だ。通常のギターに比べると少し大きめのボディも、ぶら下げて立った時に存在感抜群でカッコ良く決まる。

 

そして何といっても最大の魅力は、その音作りの幅の広さにあると思う。のっぺりとした特徴的な見た目のシングルコイルピックアップは、少し丸みがあってどこか暖かい音がする。そうしたピックアップから繰り出される、まろやかなクリーンサウンドからジャキジャキとしたソリッドな歪み、ドスンとした重量感のある歪みまで全てカバーする守備範囲の広い音こそ、ジャズマスターの王者たる所以だろう。

 

だってリアだろうがセンターだろうがフロントだろうが、どのピックアップも使えるんだもの。出したい音やバンドの特色に合わせて、その都度適したピックアップをチョイスすることで、柔軟にサウンドを変えられるこの幸せ。その幅の広さ故に音作りは非常に難しいけれど、バンドの音にバチッとハマった時には何ともいえない気持ち良さがあるのだ。

 

少し扱いづらい、じゃじゃ馬な一面も

 

とはいってもこのジャズマスター、中々にじゃじゃ馬な面も持ち合わせている。音作りの難しさもそうだが、とにかくチューニングが安定しないのである。少し弾いて気付くとチューニングがかなりずれる。気付けばいつも不協和音。音を揺らすアームなどを使用したら、一発で大幅にチューニングが狂ってしまう。また強く弾けば、かなりの確率で弦が乗っているブリッジ側のサドルから弦がずれ落ちてしまったりもする。更にブリッジに共鳴して弾く度にキィィ~ン、、、と謎の振動が起きる始末。中々にじゃじゃ馬である。まるでワガママでお姫様気質の娘さんのよう。アニメキャラか。

 

全て弦を固定するブリッジの構造上起きる現象なのだが、これでは実戦投入が厳しい為、少し改造する必要が出てくる。しかし改造といっても何も難しいことは無い。一般的には同じフェンダーの、ムスタングというギターに搭載されているブリッジと交換することが多い。物さえあれば、ただ外して新しいものを穴にはめるだけ。めちゃんこ簡単。

 

 

ちなみに僕は、ブリッジのサドル部分のみを上記の物に変更して使っている。更にブリッジを差し込む穴に詰め物をして、キィィ~ンと鳴る共鳴音が出ないようにしている。弦はずれること無く、チューニングも幾分か落ち着いて気持ち良く使用出来ている。

 

こんな風に随分と手のかかるギターだが、希望通りのセッティングが出来れば、その分愛情も倍増である。自らの手で少しづつ自分仕様に染め上げて、自分だけの愛機を時間を掛けて作り上げていく。そんな要素もジャズマスターを弾く楽しみのひとつだろう。

 

憧れのミュージシャンが使っている憧れのギター

 

また単純に、数多のカッコ良いプロミュージシャンが使用している点も、やはり人気の秘訣なのだろうなぁと思う。やっぱ単純に楽器を買う時って、憧れのミュージシャンが使っているギターを欲しくなるものじゃないですか。「あんな風にカッコ良く弾きてぇ!」って憧れるものじゃないですか。そういう僕も始めは完全なる憧れでジャズマスターを手に取った。NUMBER GIRL田渕ひさ子氏の影響だ。

 

今や伝説となったNUMBER GIRLのラストライブの映像を観たのが全ての始まりだった。そこでのOMOIDE IN MY HEAD田渕ひさ子氏の荒々しい、衝動の塊のようなギターを聞いて、一発で虜になってしまったのである。これぞオルタナティブ。引くところは一歩引いてバックの演奏を支え、前に出るところはとことん前に出てジャズマスターを掻き鳴らす。テクニックを超越した、ほとんど本能で弾いているかのような獣の如きギタープレイに夢中になった。上手い下手の概念を飛び越えて、単純に「カッコ良い!!」と思える、本能に直接語り掛けるようなギターを弾く人だと思う。今見てもカッコ良い。

 

やっぱり僕はジャズマスターが好き

 

何というか、弾いていて実に不思議なギターだな、と思う。音作りの難しさや、弦のテンションの低さや、チューニングの不安定さなど気になるポイントは沢山あって決して優等生タイプのギターではない。むしろとんだじゃじゃ馬ギターだ。しかしそんな部分も全部長所になってしまう、何とも不思議な魅力に溢れている。元々長い歴史の中で、オルタナ系シューゲイザー系のギタリストに好まれてきたジャズマスター。非常に尖った、エッジの効いたギタリストたちに愛されて来た魅力的なギターだと思う。

 

例えるならばちょっと変わり者の親友や彼女みたいな感覚だろうか。「お前のこと悪くいう奴もいるかもしれないけれど、俺はお前のこと好きだよ」といいたくなるような。そういう人って一度仲良くなると、何だかんだずっと仲良かったりするじゃない。離れて暮らしていても、定期的に連絡取り合ったりして。変わっているけれど面白くて、妙に優しいところがあったりしてさ。

 

ジャズマスターにも、何だかそんな雰囲気を感じてならない。実に不思議な魅力に溢れたギターである。ギターを弾く頻度は年々減って来たけれど、そんな風にジャズマスター君とは一生友達でいたい、と思う。君と僕は一生の友達なのさ。久々に弦を張り替えようではないか。

 

本日のテーマソング

エレキブラン/メルト