黴ブログ

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時には美しき轟音と静寂の世界を ポストロックバンド・65daysofstaticを聴いた

外出中や家事や作業をする際、耳にイヤホンを突っ込んで音楽を聴いていることが多い。ひとり暮らし故に日常の大半をひとりで過ごすことが多い為、とにかくお耳が寂しくなっちゃうのである。ひとりで過ごすことにあまり抵抗はない方だが、あまりにも静かだと何となく寂しさが込み上げてくる。

 

そんな時ほど音楽の出番だ!といつものようにイヤホンを耳にブチ込み、ナイスな音楽を流す訳だが、どうにもハマらない。明るい音楽を聴こう、いや何か違う。敢えてラウドな洋楽なんて良いかも、いや全然違う。何故か何を聴いてもしっくりこない。こんな状況、ないだろうか。僕は滅茶苦茶多い。音楽好きにとってはあるあるネタのひとつだと思われる、この如何ともし難い状況。どうやって打開しようか。

 

最近この全世界の音楽好きが直面する難題に、ひとつの打開策が生まれた。僕の中でだけだが。暗闇を切り裂いて一筋の光明が差した。パッと世界が開けた。そんな時こそ、ポストロックを聴くのが良い。65daysofstaticというポストロックバンドの音楽がとてもオススメだ。

 

65daysofstaticってどんなバンド?

 

The Destruction Of Small Ideas

The Destruction Of Small Ideas

 

 

65daysofstaticは2001年にイギリスはシェフィールドで結成されたポストロックバンドである。日本ではかの有名な残響レコードよりリリースされている。

 

電子音のサンプリングにブレイクビーツ、エモを彷彿とさせる重農なバンドサウンドに混ざり合ったピアノやギターを用いた美しいメロディラインがキラリと光る音楽性。「モグワイ・ミーツ・エイフェックス・ツイン」と形容される通り、カオティックなサンプリングに轟音と静寂を行き来して構築されるドラマチックな音世界が何とも美しいインストである。

 

・儚くも力強い1曲「retreat! retreat!」

 

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彼らの代表曲とも言える1曲にretreat! retreat!という曲がある。ギターのオクターブ奏法を駆使した疾走感溢れる演奏に、バックでチキチキと鳴るブレイクビーツが気持ち良い。実に骨太な力強さを感じる一方で、どこかセンチメンタルで儚げな雰囲気が漂っているのも印象的だ。随所に挟まれるギターのフィードバックがまた美しく、コードを弾き切った後も鳴り響くフィードバックノイズを残して曲は終わる。この余韻の素晴らしさよ。何となく心細いような、そんな夜にこそ聴きたい1曲だ。

 

なんというか、何も見えない冷たい夜の暗闇の中で漂いながらも、半ばやけくそ気味に光を探して全力疾走するようなイメージが浮かんでこないだろうか。そのイメージの何と美しいことか。冷たい雰囲気が漂いつつも、どこか暖かいような気もする。しんと静まり返った夜の静寂の中で、一抹の寂しさを感じる心にそっと沁み込んでくるみたいじゃないか。冬将軍が肩で風を切るこんな季節に、これ程までにピッタリな音楽はないんじゃなかろうか。そんな風に思った。

 

・時には歌のない、インスト曲も良いんじゃない?

 

ポストロックというと、どこか複雑で難解なイメージがないだろうか。実をいうと僕はもろにそんなイメージを持っていた。「ボーカルがいた方が俺は好きだなぁ~」などと思っていたのだけれど、俺のばかちん。めちゃんこ素敵な音楽じゃないか。こうしたインストのポストロックはこれまであまり聴いてこなかったのだけれど、65daysofstaticを聴いてそんな偏見はどこかに消えてしまった。

 

歌がないが故、楽曲自体や楽器のプレイ自体による説得力が尋常じゃないものがあるのだ。巧みな展開や構成でダレずにグイグイと聴かせる上に、その音の洪水にイマジネーションを掻き立てられてしまう。歌がなくとも、それを逆手に取るようにピアノやギターを用いたメロディが心を鷲掴みにして震わせる。こうして心に染みていく音楽に、むしろ歌詞など不要だろう。

 

65daysofstatic、それだけの力がある良いバンドだと思う。未聴の方、「何聴いてもしっくりこないんだよなぁ~」という方、是非とも聴いてみては如何でしょうか。

 

本日のテーマソング

BURGER NUDS/タネリ