黴ブログ

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エレファントカシマシ、紅白歌合戦出場決定 戦い続ける男たちの歌は僕を奮い立たせる

先日、ロックバンド・エレファントカシマシ紅白歌合戦初出場の知らせを聞いた。やはり好きなバンドが紅白歌合戦に出場決定すると嬉しいものですね。去年のTHE YELLOW MONKEYもそうだったけれど、今年もテレビに噛り付いて観ると思う。若手のアーティストも多数出場する中、圧倒するような貫禄と男気の演奏が観れるのを今から楽しみにしている。


出典: http://www.nhk.or.jp/kouhaku/artist/

 

そんないちファンとしてめでたいニュースを知った時、僕はというと偶然にもエレファントカシマシのアルバム「俺の道」を聴いていたところだった。何とも運命的なものを感じるじゃないか。好きなバンドを聴いている時に、好きなバンドの嬉しいニュースを聞くなんて。聴いていたのはエレファントカシマシのアルバムの中でも大好きな1枚である、「俺の道」。セールス的には余り振るわなかった東芝EMI時代の作品だけれど、クオリティの高さは並々ならぬものがある、すんげえアルバムだと思う。どうしてこうも血気迫った歌が歌えるのだろうか。そしてどうしてこうも胸に響き、猛るのだろうか。喜びはしゃぎながら、そんなことを考えていた。

 

・戦い勝負し続ける男たちのマスターピース

 

俺の道

俺の道

 

 

少年漫画における原則に「友情」「努力」「勝利」の3本柱があるが、それをこのアルバムに当てはめたなら、きっと「仕事」「人生」「勝利」の3本柱になるのだろうなあ、と思う。どのテーマをも極限まで凝縮して薄めずそのまま抽出したような、尋常ではない男臭さが漂うアルバムである。何て言うか、全編通して対象年齢が高い。正直、学生時代に聴いたとしても?マークが浮かんでいたと思う。

 

しかし時は流れ、学生の時分はとうに過ぎた。働き、時に喜びを知って、時に疲れ、眠り、そして働く。過程デハナク結果ヲ出サナケレバ。コレガ出来ナキャ俺ナンゾニ価値ハナイ。時として摩耗される日々に精魂尽き果て、そんな生きる屍と化したような気持ちになることもままある。目も段々と濁って来る。このままではいけない、どうにかしなければ。初めてこの「俺の道」を聴いたのはそんな極々な時だった。聴いて一発でぶっ飛んだ。ハロルド作石氏の漫画、BECKを知っている方はBECKのライブシーンを思い浮かべて欲しい。観客が初めてBECKのライブを観た際に、その衝撃に口を開けてビックリしてしまう描写がたくさん出て来るんだけど、その感じ。完全に打ちのめされてしまった。

 

そこには終始「俺は!俺は!」と繰り返される一人称に乗せて、人類の歴史やら生活やら人生やら仕事やらについて声高にがなり続ける歌があった。ボーカルの宮本浩次氏が当時抱えていたであろう様々な葛藤がそのまま音になっているようだった。しかししょぼくれた生活や自分自身を嘲りながら、それでも負けじと勝負して勝ちに向かっていく気合に満ち満ちているではないか。「まだまだ俺は甘ちゃんだわ」と自分の弱さと甘さを痛感したと同時に、「まだやれるわ」と背筋が伸びるような心地がした。

 

・困難が立ちはだかるからこそ、戦う男の歌がやっぱりグッと来る

 

この「俺の道」に収録されている楽曲に、ハロー人生!!という曲がある。

 

21世紀今日現在この東京じゃあ、さほどオレの出番望んじゃないようだが、かまわねぇオレはまだ生きている。

そうさオレはまだ生きている。

『ハロー人生!!』より引用 作詞作曲宮本浩次

 

こう、文面にしただけで伝わってくる気合の凄まじさよ。タイトル後の!!マークや「オレ」の一人称の多さに、サビ部分がよく見たら歌詞と言うよりも完全にひとつの文章になっていることからも分かる通り、並々ならぬ気合が伝わって来る。ガレージロックのようなガリガリとしたシングルコイルの歪みに乗せて、ディストーションをかけて高速でまくしたてるようなボーカルにこの歌詞である。段々とボルテージが上がっていくような展開もあって、こちらのテンションも徐々に上がってくる。「負けてらんねぇわ」と次第に心に火が付いていくのを感じる。気付けば身体中が、心の中が気合で満たされていくのである。何度この曲に背中を押されて来たか分からない。

 

一見すると普通にも見える生活にだって、当たり前に困難は立ちはだかって来る。そんな困難に行く手を阻まれて、立ち止まってしまうことも時にはあるけれど、そんな時はいつだって戦う男の歌にグッと来てしまう。そして僕はそんな時いつだってこの「俺の道」を聴く。そうして曲がった背筋をピンと伸ばして、「負けてらんねぇわ」と「頑張ろうぜ」と勝利の栄光をこの手にすべく、今日も明日も出掛けて行くのだ俺たちは。そうだろう、エブリバデイ。

 

世に無数にあるロックバンドの内、「ロック」しているバンドは多いがしっかりと「ロール」しているバンドはどれ位いるだろうか。過剰過ぎる位に一切飾らず、心の中を洗いざらい晒したような「俺の道」の楽曲たちに、そんな「ロール」の部分が表れているように思った。エレファントカシマシ、「ロック」して「ロール」し続ける、最高のロックンロールバンドだと思う。

 

デビュー以来、大ヒットは勿論だがレコード契約打ち切りとセールスの低下等これまで様々な紆余曲折を経験してきたエレファントカシマシ。先に「セールス的には余り振るわなかった」と書いたが、例え一般的にセールスが振るわなかったとしても、自身の求める音楽をとことん追求して表現し続けたこうした時代があったからこそ、今現在の優しく力強い彼らがあるのではないだろうか。こうなったら、もう行ける所まで行って欲しいし、そんな光景が見てみたい。紅白歌合戦、とても楽しみだ。是非とも大晦日は彼らの雄姿を目に焼き付けたい。そうして「頑張ろうぜ」と「負けてらんねぇわ」と背筋を伸ばして行くのだ、俺たちは。

 

本日のテーマソング

MOGWAI/kids will be skeletons