黴ブログ

好きなものやことを、徒然なるまま書き散らす。

「レオン完全版」を観た

ごきげんよう、皆さんいかがお過ごしだろうか。かーびーです。

最近はよく映画を観ています。と言っても、週に1,2本程度で決して多い訳でも、詳しい訳でもないのだけども。

その中で観た「レオン完全版」がとても面白かったので、感想なぞ書こうとPCを開いた訳だ。有名な映画なので、ご存知の方も多いかもだが。

 

レオン 完全版 [DVD]

レオン 完全版 [DVD]

 

舞台はニューヨーク。 心に孤独を抱える、凄腕の殺し屋・レオンが、同じく孤独を抱える少女・マチルダと出会う。「弟を殺した奴に復讐したい」というマチルダと、ひょんなことから奇妙な共同生活をおくることになって~というのが物語の導入部。「あなたに恋したみたい」と言う、マチルダの存在を始めは疎ましく思っていたレオンだが、嫌々ながらも生活を共にするに連れて、誰とも関わらない孤独な心に徐々に愛ともつかない、忘れていた感情が生まれていって。。。というお話。

ジャンル分けするならば、一応アクション映画ということになるのだろうか。職業・殺し屋のレオンのお仕事シーンはどれもスピード感と緊張感があってとてもスタイリッシュだし。けれども、バキューン!!ズバーン!!ウワーヤラレター!!!なアクションシーンに主軸を置いているかというと、決してそんなこともなく。むしろそうしたアクションよりも、青年時代から誰も愛さずに、愛されずにただ殺しの仕事のみを遂行してきた孤独なレオンと、ワルい麻薬捜査官から家族を皆殺しにされた、孤独なマチルダの交流、芽生える愛、絆そして再生に主軸を置いて描いている本作。素直に面白かったし、ラストシーンでは言いようのない喪失感に襲われた。

 

文字にするととても安っぽくなってしまう気がするけれど、愛っちゅうもんは偉大だな、と。絆・繋がりと表現しても良いかもしれない。

レオンは過去に恋人を殺した父親を殺害して以来、殺し屋となり、誰も愛さない、関わらない、全力で日陰を歩くように生きてきた孤独な人物で、対するマチルダも、虐待を受けて育ち、唯一心を開いていた弟ごと家族を皆殺しにされた、孤独な女の子で。

そんな2人の共同生活の場面が、クールで殺伐とした劇中の雰囲気の中で妙にポップで暖かくて、ちょっと笑いもあって印象に残っている。マチルダに唐突に告白されて、飲んでいた牛乳を盛大に噴き出すレオン、とか。マチルダが有名人に変装してそれを誰か当てるゲームしてるシーンとか、何かほっこりとしてしまった。そして全然当てられなくてマチルダに呆れられるという。。笑ていうかこのレオン、普段はクールな殺し屋なのに素は意外と純情でポップなキャラクターなんですね。ギャップ萌えというか、レオン萌えキャラかよ!!!と思った笑

そしてまた印象に残っているシーンが、レオンが大事に育てている鉢植えに関する2人のやりとり。この鉢植え、レオンにとって「自分と同じ根無し草」で「最高の友達」である大事な存在なのだが、それに対して

 

友達だと思うなら公園にでも埋めてやれば良い、きっと根を張るわ。

 1994年公開『レオン』におけるセリフより引用

 

と話すマチルダ。何気ないやり取りなのだが、これが最後の方のシーンで重要な伏線になっていたのだな。ワルい麻薬捜査官のスタンスフィールドからの襲撃を受けて絶体絶命のピンチに陥った2人。そこでマチルダだけでも逃がそうとする場面で、

 

大地に根を張って暮らしたい、独りにはしないよ。愛してる。

 1994年公開『レオン』におけるセリフより引用

 

と話すレオン。この流れがとても感動的で、涙腺をグイグイ押されてしまった。これまで誰とも関わらず、ましてや恋などとは程遠い殺伐とした世界で生きてきたレオンだが、マチルダとの生活の中で、もうこれまで生きてきた世界とはさよならしようと思っていたのだな、と。殺しを仕事とする日陰者から光の差す場所へ、人間へ向かっていこうと思っていたのだな、ととても感情を揺さぶられた。

 

人は1人では生きていけないし、1人でいても結局は1人分の考えや答えしか浮かばないし、何も変わることもないし、成長することもない。ひょんなことから始まった共同生活だけれど、何なら揉めたりもしたけれど、レオンにしてもマチルダにしても、独りぼっちの頃より出会ってからの方がよっぽど生き生きしていて人間らしいよ。そんな過程が丁寧に描かれていて、後半は繋いでいたいと願う人間の切実さ、力強さが画面を通して伝わって来るようだった。

レオンもマチルダも、世間一般的に言ったら決して褒められるような人たちでは無くて。レオンは言わずもがなたくさん人を殺めてきたし、マチルダも子どもなのに喫煙はするわ、酒はがぶ飲みするわ、素行悪いわ、復讐の為にひとりで敵の居場所にカチ込むわで問題だらけなのだけど。それでも誰かといたい、繋がっていたい、という気持ちは、人物や置かれた境遇に関係なく、尊くて美しいそして力強いものな訳で。愛や絆というものは人を変えるし、強くも、そして弱くもする。そうしたものを殺伐といていて、スタイリッシュな空気の中で明確に描いている映画だと思った。とても面白かった、またいつか忘れた頃に観返したいな。まだ観たことない人、お暇な休日にでも観てみたらどうでしょう。僕はとても好き。

 

本日のテーマソング

大槻ケンヂ/GURU