黴ブログ

好きなものやことを、徒然なるまま書き散らす。

僕の好きなパンクロック

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THE BLUE HEARTSの「パンク・ロック」という曲の中に、こんな歌詞がある。

 

僕 パンク・ロックが好きだ

ああ やさしいから好きなんだ

パンク・ロック」より引用 作詞作曲・甲本ヒロト 

 

「パンクが優しい?そんなことはないだろ。」と初めて聴いた時は思っていた。しかし、今なら言える。パンクロックは、優しい。 そしてそんな優しい歌が僕は好きだ。パンクロックの元祖、RAMONESを聴いていて、そんなことを思った。

 

Rocket to Russia

Rocket to Russia

 

 

先日、「久々に初期パンクでも聴こうかな。」と、ふと思い立ち手に取ったのは、RAMONESであった。70年代のアメリカにおいてパンクロックを演奏し、遠く離れたイギリスにまで飛び火したその熱で、パンクロックのムーブメントを作り出した偉大なロックバンドである。

 

「1・2・3・4!」のカウントで飛び出す、衝動のみでかき鳴らしたようなスリーコードのロックンロールは、どれもシンプルながらも熱い。それでいてどの曲も最高にポップ。おまけにラブソングなんかもあったりして、今聴いてもかっこいい。ノリノリで聴いているうちに、こうしたパンクにのめり込み、夢中になって聴いていた高校時代を思い出してしまった。

 

何度かこの日記にて告白しているように、高校時代の僕といえば暗くてイケてない、ボンクラ学生の代表のような奴だったんだよ。田舎の高校であった為、周りはゴリゴリのヤンキーばかりで、常に授業崩壊一歩手前。強ければ生き、弱ければ死ぬ。そんな北斗の拳の世紀末ばりの荒れた環境で、心から「やってらんねぇわ」と思った。そんな環境からとっとと抜け出すべく、猛勉強を開始した。太宰治夏目漱石などの日本文学にハマったりエレキギターを弾き始めたのも、ちょうどその頃だったな。「俺も何かやらかしてぇ。」と、心の中では熱いパッションに満ち満ちていたっけ。

 

恥ずかしながらまたひとつ告白すると、皆さんにもいたでしょう、好きな異性が。そんなボンクラ学生の僕にも好きな女の子というものがいた。アオハルっすね。書きながらすげぇ懐かしい。そして恥ずかしい。

 

いつも皆とニコニコと笑っているような優しい明るい子であった。しかし、皆とワイワイしていながらも、時々どこか所在なさげな表情をしてることがあった。「うーん、困ったなあ。」とも言いたそうなその表情に、ボンクラな俺は撃ち抜かれてしまったのだ。「最高にクールだぜ。」と思った。

 

皆とワイワイしながらも、あの娘も実は「やってらんねぇわ」と思っているのではないだろうか。もしかしたら話が合うのではないだろうか。「ロックとか、私も実は好きなんだよね」なんて言ってくれたりしてな。だったらいいなぁ。そんなん素敵やん。ボンクラ特有の、半ば勝手な思い込みでそんな風に考えていたっけ。完全にバカ。当時に戻ったら真っ先に説教したい。そんな訳ねぇだろ!と今なら思うけれど、当時のボンクラ野郎の僕にそんな考えはない。完全にどうかしていたと思う。

 

そんな時期によく聴いていたのがパンクロック。GREEN DAYRANCIDSEX PISTOLSRAMONESなどの音楽に夢中になった。特に好きだったのがRAMONES。音は古いけれど、衝動だけでかき鳴らしたようなパワーコードにダウンストローク一辺倒な演奏。ポップで時折哀愁のあるメロディ。長めのマッシュルームヘアーにライダースにGパン。全てがストライクであった。

 

そして何より、「お前もやらかしてやろうぜ。」と言われている気がした。スピーカーの向こうで「退屈なんだろ?面白いことやってやろうぜ。」「見せつけてやろうぜ、あいつらによ。」そんな風に歌っているように聴こえた。このままでは貴重な学生生活に思い出もクソもない。RAMONESはそのパンクロックで世界を塗り替え、ムーブメントを作り出した。そしてデビュー以来、衝動に満ちたパンクロックを鳴らし続けて伝説を残したのだ。俺もやるしかねぇ。あの娘にこの想いを伝えねば、と決意した。

 

まあ、結果は結局フラれたんだけどね。何なら在学中、4回くらいしか会話してないからね。全然ダメダメだったんだけどね。何だったんだろうあれは、と思うけどね。しかし後悔は今でもない。男には、例え無理に思えてもやらねばならない瞬間があるもの。いち男性として、ひとつ上の男になれるかどうか。その運命の分かれ道のひとつがあの場面だったと今でも思っている。

 

何も報われなかったけれど、むしろしょっぱい思い出だけれど、決断して立ち向かったその強さは決して無駄ではない。やるかやらないか。戦うか戦わないか。そんな選択において、パンクロックはいつだって「やらかしてやろうぜ。」と僕に向けて歌う。久しぶりに聴いたRAMONESは、当時と変わらず「やらかしてやろうぜ。」と背中を押してくれる心地がした。

 

やっぱり、パンクロックは優しい。そんな優しいパンクロックが、僕は好き。

 

 

本日のテーマソング

RAMONES/HERE TODAY,GONE TOMORROW