黴ブログ

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映画「エターナル・サンシャイン」を観た ラストシーンに見る、大事な愛の形

先日、1本の映画を観た。タイトルはエターナル・サンシャイン。有名な映画ゆえ、知っている人も多いだろう。失われていく記憶の中での、恋人との逃避行を描いたラブストーリーだ。これがもうめちゃくちゃ面白い。もしも「おすすめの映画は?」と聞かれたら、間髪入れずにおすすめしたい1本である。観るのは2回目なのだけれど、マヂ泣ける。普段はクールでスタイリッシュなメンズを目指している僕だけれど、柄にもなく「愛ってこういうことなんだろうな。」などと思った。

 

愛っていったいなんだろうか。人々を惑わせ時に救ったりもする、未だ謎に包まれた部分も多い、愛。これってなかなかの難題だ。僕は一言でパッと説明できない。しかしそれを解き明かすヒントなら、このエターナル・サンシャインにあるんじゃなかろうか、と思うのである。

 

そこで今回はテンションの赴くまま、マイフェイバリッド・ムービーのひとつである、エターナル・サンシャインについて語っていきたい。ちなみにネタバレも含む予定。ご注意あれ。

 

・あらすじ

 

youtu.be

https://youtu.be/h4QXNYSAL_Y

 

エターナル・サンシャインは、2004年公開のSFラブストーリーだ。まずはざっくりと、ストーリーを説明しようと思う。

 

ジム・キャリー演じる主人公のジョエルは、ケイト・ウィンスレット演じる恋人のクレメンタインと喧嘩別れしてしまうのだが、そこでクレメンタインが自身と関わった記憶を消去してしまったことを知るのである。そして自分のことなど忘れて、他の男と交際を始めたクレメンタイン。「俺だってお前との記憶なんざ消してやるわ!」と、ブチ切れたジョエルもまた記憶を消すために、嫌な記憶の消去を請け負う会社、ラクーナ社へと向かうのだ。

 

記憶を消すための施術中、眠ったジョエルの頭の中では、楽しかったクレメンタインとの思い出が繰り返されていた。嫌な思い出は勿論、楽しかった思い出も次々と消えていく。退屈だった日常が、彼女のお陰で輝いていたこと。分かち合ったあの日や、初めて出会った時のこと。

 

喧嘩ばかりで忘れていた素敵な思い出を追体験するうち、「やっぱり君との思い出がなくなるなんて嫌だ!」と思い立ったジョエルは、次々と消えていく思い出を守ろうと、意識の中のクレメンタインを連れて、逃避行を図るのである。

 

・記憶の中の逃避行に愛を見た!

 

ストーリーの伏線や脚本はもちろん、眠っているジョエルのぼんやりとした頭の中を忠実に映像化した描写など、素晴らしい点ばかりなのだが、まず何より頭の中で次々と消えていくクレメンタインを守って記憶の中を右往左往する、主人公ジョエルのエモーショナルさに心が震えてしまった。

 

最後は喧嘩別れしたクレメンタインだけれど、記憶の中の彼女はいつだって笑ってジョエルを励まし、時に頼りないジョエルの手を引き、懸命に逃げようとするのである。それはつまり、ジョエルにとってのクレメンタイン像に他ならない。喧嘩別れしただけに、彼女の印象は最悪のままで終わってしまったけれど、忘れかけていた彼女との思い出を追体験するうちに、皮肉にも「ああ俺、こんなに幸せだったんだなぁ。あいつのこと、嫌いになれねぇや」と彼女の素晴らしさを噛みしめることになるのだ。

 

僕自身、男性だからこそよく分かる。我々男にはそういうところがある。恋愛において、よく「女性は上書き保存。男性はフォルダ保存。」と揶揄されることがあるけれど、僕自身自分を顧みても、そして映画を観ても本当にその通りだと思う。多くの女性は、きっとそんな我々を「男ってほんと、バカ。」と言うだろう。

 

確かにそうだね。俺もたまにそう思うよ。しかし、何も悪いことばかりではないんじゃなかろうか。そうやって悔し涙を流し、時に憎み、迫りくる空虚感に力なくタハハと笑った後、「どこまでも相手を思いやり、受け入れよう。」という決意が、心に微かな暖かい火を灯すのである。そしてそんな気持ちこそが、また誰かと心を通わせていく瞬間に繋がっていくのだ。

 

・大事なのは「思いやり、受け入れること。」

 

映画のラストシーン、必死の逃亡も虚しく、ジョエルの記憶からはクレメンタインは綺麗さっぱりと消えてしまう。そんな中、急な衝動に駆られモントーク行きの列車に飛び乗ったジョエル。ジョエルはそこで記憶をなくしたクレメンタインと再会を果たすのだ。

 

何を隠そうこの2人、記憶がないにも関わらずかつて初めて会った思い出の地である、モントークで再開を果たすのである。そしてかつてと同じように愛を深める2人。運命の人は、どうあがいてもいつか出会ってしまう、ということだろう。そしてかつては喧嘩別れしてしまった2人の心の中には、新たに「喧嘩してもいつか別れる日が来てもいい。ただ相手を思いやり受け入れていこう。」という思いが芽生えるのだ。

 

愛っていったい何だろう。相手を好きだと思う気持ち。またはずっと一緒にいたいという気持ち。無償の奉仕の気持ち。きっとどれも正解だし、間違いなんてないだろう。でも実は、これらの根底にある「相手を思いやり、受け入れよう。」とする気持ちこそが、最も大事なのではないだろうか。それがなかなか難しいのだけれどもね。

 

誰かの記憶を消しちまいたいと願う瞬間は、度々訪れる。「後ろを振り向かず、前を向け!」なんて言われることも多いけれど、時々は後ろを振り返ってみるのも悪くない。なんだかそんなことを思い、心が震える1本であった。おすすめです。

 

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本日のテーマソング

ASIAN KUNG-FU GENERATION/海岸通り