黴ブログ

好きなものやことを、徒然なるまま書き散らす。

ガールズロックバンドFINLANDSが今、最高にかっこいい

かつてロックの衝撃にやられた全ての者たちには、皆等しく、ひとつの運命が待ち受けているように常々思う。一度ロックのリズムに、メロディに心を奪われたら最後。次の新たな衝撃に出会うための、砂漠の如く広い、音楽の世界をさまよう旅が始まるのだ。

 

その旅が、もう滅茶苦茶楽しい。好きなバンドのルーツを探ったりなどは、音楽ファンにとってあるあるな楽しみ方だろう。ルーツを探りながら、まだ見ぬ素敵な音楽に出会えた時などは、もう無上の喜びのひとつだ。

 

しかしそんな楽しい旅の途中、ふと「最近のバンドはさぁ~…」と愚痴をこぼしたりしてしまうことってないだろうか。

 

年齢を重ねるごとに、我々の感性も変化していく。かつてはCDショップなどで発掘しては、延々と聴いていた若いロックバンドの曲などが、何故だか楽しめなくなってしまう、ということが往々にしてある。そんな時にふと、上にあるように「最近のバンドはさぁ~…」と感じてしまうこと、ありませんか?

 

しかし若いロックバンドでも、本当にかっこいいバンドは沢山あるんじゃなかろうか。「ロックバンドの元気がない」などといわれがちな昨今でも、かっこいいロックバンドは生まれて、今日もどこかでライブを繰り広げているのではないだろうか。そんな風に考えていたところ、とあるバンドに出会った。

 

そのバンドがFINLANDS。僕は今、FINLANDSが最高にかっこいいと思います。「何だか退屈だなぁ」と感じているあなたに、ぜひともおすすめしたいバンドだ。

 

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・ソリッドさとクールさが病みつきになるガールズロックバンド

 

FINLANDSは、ボーカルとギターの塩入冬湖氏とベースのコシミズカヨ氏の2人からなる、2人組ガールズロックバンド。

 

ライブやアー写における、厚手のモッズコートを着用したメンバーのビジュアルもさることながら、その楽曲たちもどことなく冬の寒さを連想させるものばかり。FINLANDS(読み方は、フィンランズ)の名の通り、凍りつく冬のフィンランドのように尖りながらもクールな世界観がもうめちゃんこ魅力的なのだ。

 

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こちらの「ウィークエンド」を聴いてみて欲しい。とにかくキラーチューン感満載の名曲だ。歯切れの良いシングルコイルのギターから繰り出される、縦横無尽に曲中を駆け巡るリズミカルなリードギター。そして、マイナーコードを中心にした、切なさや虚無感や寂しさなどの、センチメンタルな心象風景を連想させる、疾走感のある曲。

 

奇をてらったアイディアや、ガールズバンド特有の女子女子した雰囲気にも頼らずに、感情のままに歌い掻き鳴らす正統派ど真ん中なギターロックに、センチメンタルさを通り越して、ゴリゴリにゲインを上げた心のオーバードライブが一気にONになってしまう。FINLANDSのようなバンドって、これまでいたようでいなかった気がする。これ、もう滅茶苦茶かっこよくないですか。

 

・冷たさと熱さが同居した塩入冬湖のボーカル

 

楽曲の良さもさることながら、最大の魅力は何といっても、塩入冬湖氏の特徴的なボーカルじゃないかと思う。まるで歌手のchara氏やYUKI氏が感情を最大にブーストさせたような、喉元をキュッと締めて歌う高音部分が印象的だ。

 

楽曲にもある、一抹のセンチメンタルさや切なさといった冷たさを持ちながらも、心の奥底から湧き上がる熱い衝動をも感じさせるボーカルに、心を惹きつけられてしまう。そりゃ、こちらの感情のオーバードライブも、ガッと入ってしまうってもんだ。

 

youtu.be

 

また、そうした圧倒的な声で歌われる、どこか詩的で時折ハッとさせられるようなパンチの効いた歌詞も素晴らしい。

 

クレーター クレーター お前の跡なら何千万もついてやろう

クレーター クレーター 跡形消すまで破撃光線じゃ意味がない

(FINLANDS「クレーター」より歌詞引用 作詞作曲:塩入冬湖)

 

男女の恋愛における関係の歪さを歌った歌詞だと思うんだが、そこに付随するアレコレを、「クレーター」のワードで表すこの表現力よ。

 

抽象的な歌詞の中でも光る、こうした言葉遊びの巧みさが、さらっと聴いていても耳に飛び込んでこびりついてしまう。そしてラスサビの衝動的なシャウトである。ハッと胸を打つこうしたフレーズや、曲の持つ、かっこ良くなる絶妙なポイントを的確に突いたボーカリゼーションに、聴けばたちまち引き込まれてしまう。一度聴いたら忘れられないこうした中毒性の高さも、FINLANDSの魅力のひとつだろう。

 

・いつかの「かっこいい!」にまた出会えるバンド、FINLANDS

 

「最近のバンドはさぁ~…」などと時折口にしながらも、僕らが音楽を巡る旅が止められないのはきっと、かつてロックに魅せられたあの衝撃がずっと忘れられないから。そう、僕ら音楽ファンは、そんなあの時の「かっこいい!」に何度でも出会いたいのだ。そんな「かっこいい!」にまた出会いたいから、旅を続けているんじゃないか。いわば長い旅路を歩く、永遠のビューティフルドリーマーなのだ、俺たちは。

 

そんな俺たちが捜し歩く「かっこいい!」が、FINLANDSの音楽にはある。そんな風に思う今日この頃。未聴の方、聴いてみて下さい。きっとあなたの心のオーバードライブも、ゲインマックスでONになることでしょう。おすすめです。

 

本日のテーマソング

エレファントカシマシ/幸せよ、この指にとまれ