初めてのエレキギターこそ見た目がかっこいい1本を選ぶのだ
前回「初心者でも大丈夫!大学の軽音楽サークル入部のススメ」と題して、上から目線で好き勝手にアドバイスを語る記事を更新した。
そこで1点、楽器を始めるにあたって重要な、あるポイントを書き逃してしまったので、今回は補足としてそいつをテーマに語っていこうじゃないか。それもズバリ、初めて買うべき楽器についてである。
ギターにしてもベースにしても、多くのメーカーから様々なモデルが発売されており、初心者におすすめ!と謳った商品もこれまた多い。そんな中から自身が買うべき楽器は何だろうか、どれを選べば良いのだろうかと、迷うことが多いのもまた事実。
様々な意見があるが、個人的には、自分が一番かっこいいと思った楽器を買えばいいんじゃね?思っている。
「大学生になったことだし、興味のあったバンドでも始めてみようかな」と思った方々が、ひとたびインターネットで楽器について検索したとしよう。そうしてネット上に出てくるのは「初めは初心者セットがおすすめ」「いや初心者セットはおすすめしない、とにかく高い値段の楽器を買おう」「自分の身体や手にフィットした楽器を選ぶのが良い」「いや音が好きな楽器を選ぶべき」といった、数々の相反する意見。
鬼のように存在する意見に、心のキャパは崩壊。遺憾ともしがたい混乱状態に陥ってしまうことは確実だろう。
何というか、僕がそうだった。高校時代、アルバイトで貯めたお金を手に楽器屋へ向かって愕然とした。沢山ある楽器の中からどれを選べば良いのか、皆目見当もつかなかったのだ。
見渡せばフロアには初心者セットの安価なモデルから中古楽器、ギブソンやフェンダーなどのそこそこ値段のするモデルまで、所狭しとギターが並んでいた。店員さんは何だか怖そうだし、携帯電話で調べてみれば上記のような意見が乱立している。心のキャパは当然崩壊し、ギターを見に来たというのに「今晩の晩飯は何かなあ」などと考えだす始末。こりゃいかん!と逃げ帰るようにお店を後にした訳だ。
そこで、そんな経験を踏まえた上でいいたい。初めての楽器。様々な意見が存在する中、僕は単純に見た目がかっこいい!と感じた楽器でいいんでないか?と思うのだ。
僕の話をしよう。そんなこんなで僕が初めて買ったギターは、レスポールのゴールドトップモデルであった。よく分からんメーカーの、2万円でおつりがくる位のものだったと記憶している。
僕がレスポールに興味を持ったのは、当時ASIAN KUNG-FU GENERATIONやBUMP OF CHICKEN、ELLEGARDENや銀杏BOYZなど、レスポールをメインで使用しているバンドをよく聴いていたことがきっかけだった。
その中でも特に好きだったのが、スピッツの三輪テツヤ氏やASIAN KUNG-FU GENERATIONの喜多建介氏。一般的に、重く図太い音がするといわれているレスポールを使用しながらも、決して歪みに頼らずに、楽曲に寄り添ってそっと色を塗っていくようなギタープレイに惹かれたのだ。「俺もこんな風にギターを弾いてみてぇ!」と思った。そして何より、その見た目がかっこいい。
ずしりとした重量を感じさせるボディに、女性の身体にも例えられる曲線的なシェイプ。超かっこいいやん。低めに構えて掻き鳴らしたら、ロックスター感バリバリやん。そして安価なモデルでは珍しい、渋みとスタイリッシュさを共存させたようなゴールドトップのカラー。「何これかっこいい!!弾いてみてぇ!!!」と他のモデルには目もくれずに購入したのだった。
「見た目がかっこいい」というと、何やらバカっぽい響きもしてアレだが、単純にその方が気分が上がるのである。音や身体にフィットするか否かももちろん大事なのだが、まず初めの段階において、この「気分が上がる」というのは非常に大事な要素だと僕は思うのだ。
何故ならかっこいいが故に、何度でも手に取って弾きたくなるのだ。弾けないなりに練習を繰り返し、パワーコードでも弾けると嬉しかった。NIRVANAの「Smells Like Teen Spirit」のイントロとか、延々と弾いていたのを覚えている。調子に乗って、鏡の前に立ってかっこいい弾き方を研究しちゃったりしてな。右も左も分からない状態でも、気分が上がれば自然と弾く回数が増えるのである。
この弾く回数が増えるというのがまた大事で、何事も触れる機会が増えれば、自然と上達していくもの。そして覚えていくうちに音の好みが出てくれば、音作りや改造などにも手を出したりして。そんなひとつひとつがまた楽しかったり、技術向上に繋がったりするのだ。
こうした気になるポイントがまず見た目だと、ピックアップやピックガードなどはある程度変えられても、基本的には新しいギターを買う他ない。安いモデルもあるにはあるが、なかなかホイホイと買い替えるものでもないし、得策ではないだろう。コスパも良くないし。弾きやすさや身体に馴染むかなどに関しても、ある程度弾けるようになってからまた新たに吟味すれば良いのだ。
まずは楽しく弾けるかどうか。楽しく出来れば自然と技術はつき、段々と弾ける曲も増えて来るだろう。だからこそ初めの1本は、何度も弾きたくなるような、見た目が好みの楽器をおすすめしたいのだ。俺は。
楽器を始めたいと考えているそこの君よ!楽器は見た目で選ぶのだ!君がかっこいい!と思う楽器を手に入れれば、地味で退屈な練習も楽しくノリノリで行うことが出来るだろう。そして気付けば鏡の前で夢中になって弾いているはずだ。
本日のテーマソング
ASIAN KUNG-FU GENERATION/新しい世界