黴ブログ

好きなものやことを、徒然なるまま書き散らす。

syrup16gが活動休止!?それでも僕はシロップが好き

遅ればせながら先日、syrup16gが活動休止するというニュースを聞いた。最新アルバム「delaidback」発売後のツアーである、COPY発売16周年記念ツアー「十六夜<IZAYOI>」にてアナウンスされたとのこと。

 

初めてその知らせを聞いた時にはぶったまげた。精力的にアルバムのリリースやツアーを行っていただけに、「マジか」と思った。何だかんだ言ってまだライブ行ったことないのに。と言うか「五十嵐氏の身に何か!?」と心配してしまった。

 

syrup16g「このへんで一休みします」。ツアー最終夜は「冥途」 (2018/02/09) 邦楽ニュース|音楽情報サイトrockinon.com(ロッキング・オン ドットコム)

https://rockinon.com/news/detail/173027

 

しかしどうやらネガティブな活動休止ではなく、あくまで「一休み」らしいですね。なるほど。一休みならば致し方ない。今までもそうだったように、またひょっこりと戻ってきそうではないか。十分に休養して戻ってきたsyrup16gが、今度はどんな曲を聴かせてくれるのか、今から楽しみだ。

 

そんな訳でここ数日は、syrup16gばかりを繰り返し聴いている。やはりsyrup16gは最高にいい。晴れた休日の昼間から聴く音楽ではないのかもしれないが、そんなん関係ないもんね。いいもんはいいもんね。久々に聴いたsyrup16gは、まるで春の日差しの暖かさのように心地良いものであった。

 

それにしても、もう何回も聴いて新鮮味などないはずなのに、何故ここまで心に沁み込んでくるのだろうか。何故聴くたびに「ああ、やっぱりsyrup16gはめちゃめちゃいいな」としみじみしてしまうのだろうか。それはきっとsyrup16gがどんな音楽よりも押し付けがましくないからじゃなかろうかと、考えていた。

 

そうsyrup16gは、いや五十嵐隆氏は、その思想も哲学も経験も、何ひとつとして我々に押し付けたりはしないのである。分かりやすく言えば、アレだ。「お前もっと頑張れよ!」みたいなマッチョイムズ極まる主張がほぼほぼないのである。「お前らもっとさ~」というマウントを取るが如き主張も、ない。

 

あるのは「君は死んだ方がいい」*1と歌う「デイパス」に代表される、圧倒的に冷めた、自身を客観視して突き放すような歌詞と、シンプルな4拍子の曲に見せかけて密かに3拍子を絡ませてくる「イエロウ」のような、何食わぬ顔でさらりと工夫したアレンジを入れてくるサラッと感。関係ないけど、これと「ニセモノ」のイントロは、バンドでコピーした時戸惑ったっけ。

 

そう全ての要素が、実にさりげないのである。思わずドキリとさせられてしまうパンチの効いた歌詞も、シンプルに見えて工夫の凝らされたアレンジの数々も、全て実にさりげなく、さらっとした質感を持っているのである。

 

そこにはロックバンドにありがちな、「俺らロックだろう~?」とも言うべきギラギラとした過剰さはない。演奏も歌も、さらっとさりげなく僕らリスナーに放ってくる。そしてそんなさりげなさは、まるでボディブローのように我々の心に刺さり、ふとした瞬間にじわじわと効いてくるのだ。

 

そうしたsyrup16gの音楽には、押し付けがましさが全くない。不思議と僕は彼らの音楽に、落ち込んだ時に何も言わずに側にいてくれる友人のような、優しい体温を感じる。そうしてsyrup16gの音楽に優しい体温を感じるたび、僕は学生時代のしょっぱいエピソード思い出してしまうのだ。

 

突然だが僕の話をしよう。大学時代、好きだった女子にフラれ、部屋でひとり不貞腐れていた時のことだ。

 

そんなある日、よくつるんでいた友人が部屋にやってきた。まあ部屋にきたと言っても、別に慰めよう会を開こうとかではない。「暇かー?」っつって遊びにきただけ。2人でタバコを吸い、くだらない話をして、コンビニの弁当を喰らう。それだけ。

 

しかし僕自身は相当酷い顔をしていたと思う。そんな僕を見かねたのだろう。ART-SCHOOLの「SWAN SONG」を流しながら、彼はポツリと「まあ別に、這いつくばったままでもいいっしょ、関係ねーよ」と呟いたのである。「この曲めっちゃいい曲だよね、お前のこと歌ってるみたいだよな」と。

 

何と返したかは覚えていないが、意見やアドバイスを語ることもせずに、何も押し付けずに、ただ「別に這いつくばったままでもいいんじゃない?」と側で笑う彼の優しさが、とにかく嬉しかったことを覚えている。

 

syrup16gの音楽はそんなあの時の優しい感覚と、同じ匂いがする。ただあるがままを受け入れ、「這いつくばったままでもいいんじゃない?」と笑う友人の優しさと、よく似ているのだ。

 

確かにsyrup16gは明るい音楽ではない。と言うか暗い。人間の感情の奥底に沈んだ、よどんだ部分をすくい上げるかのような、ドロドロとした生々しい曲も少なくはない。しかし、言いようのない不安や悲しみ、モヤモヤに包まれた時、僕らが本当に求めているのは「頑張れ!」や「ポジティブに行こう!」というような言葉ではない。そんな時、そういった言葉はきっと胸に響かないだろう。虚しく右から左へと流れていくだけだ。

 

そんな時こそ、むしろどこか投げやりで、何も押し付けない、しかしまるで親しい友人のように「あー分かるわ、しんどいよねぇ。。」と側で呟くように歌う、syrup16gの音楽が優しく響くのだ。

 

何も押し付けずに、ただ側にいるように、側で呟くように歌う。そんなsyrup16gの音楽が僕は大好きだ。一休みが終了して活動が再開したら、今度こそライブを観に行こうと思う。

 

delaidback

delaidback

 

 

本日のテーマソング

syrup16g/デイパス

 

*1:syrup16g:デイパス より歌詞引用 作詞作曲:五十嵐隆