黴ブログ

好きなものやことを、徒然なるまま書き散らす。

映画「エターナル・サンシャイン」を観た ラストシーンに見る、大事な愛の形

先日、1本の映画を観た。タイトルはエターナル・サンシャイン。有名な映画ゆえ、知っている人も多いだろう。失われていく記憶の中での、恋人との逃避行を描いたラブストーリーだ。これがもうめちゃくちゃ面白い。もしも「おすすめの映画は?」と聞かれたら、間髪入れずにおすすめしたい1本である。観るのは2回目なのだけれど、マヂ泣ける。普段はクールでスタイリッシュなメンズを目指している僕だけれど、柄にもなく「愛ってこういうことなんだろうな。」などと思った。

 

愛っていったいなんだろうか。人々を惑わせ時に救ったりもする、未だ謎に包まれた部分も多い、愛。これってなかなかの難題だ。僕は一言でパッと説明できない。しかしそれを解き明かすヒントなら、このエターナル・サンシャインにあるんじゃなかろうか、と思うのである。

 

そこで今回はテンションの赴くまま、マイフェイバリッド・ムービーのひとつである、エターナル・サンシャインについて語っていきたい。ちなみにネタバレも含む予定。ご注意あれ。

 

・あらすじ

 

youtu.be

https://youtu.be/h4QXNYSAL_Y

 

エターナル・サンシャインは、2004年公開のSFラブストーリーだ。まずはざっくりと、ストーリーを説明しようと思う。

 

ジム・キャリー演じる主人公のジョエルは、ケイト・ウィンスレット演じる恋人のクレメンタインと喧嘩別れしてしまうのだが、そこでクレメンタインが自身と関わった記憶を消去してしまったことを知るのである。そして自分のことなど忘れて、他の男と交際を始めたクレメンタイン。「俺だってお前との記憶なんざ消してやるわ!」と、ブチ切れたジョエルもまた記憶を消すために、嫌な記憶の消去を請け負う会社、ラクーナ社へと向かうのだ。

 

記憶を消すための施術中、眠ったジョエルの頭の中では、楽しかったクレメンタインとの思い出が繰り返されていた。嫌な思い出は勿論、楽しかった思い出も次々と消えていく。退屈だった日常が、彼女のお陰で輝いていたこと。分かち合ったあの日や、初めて出会った時のこと。

 

喧嘩ばかりで忘れていた素敵な思い出を追体験するうち、「やっぱり君との思い出がなくなるなんて嫌だ!」と思い立ったジョエルは、次々と消えていく思い出を守ろうと、意識の中のクレメンタインを連れて、逃避行を図るのである。

 

・記憶の中の逃避行に愛を見た!

 

ストーリーの伏線や脚本はもちろん、眠っているジョエルのぼんやりとした頭の中を忠実に映像化した描写など、素晴らしい点ばかりなのだが、まず何より頭の中で次々と消えていくクレメンタインを守って記憶の中を右往左往する、主人公ジョエルのエモーショナルさに心が震えてしまった。

 

最後は喧嘩別れしたクレメンタインだけれど、記憶の中の彼女はいつだって笑ってジョエルを励まし、時に頼りないジョエルの手を引き、懸命に逃げようとするのである。それはつまり、ジョエルにとってのクレメンタイン像に他ならない。喧嘩別れしただけに、彼女の印象は最悪のままで終わってしまったけれど、忘れかけていた彼女との思い出を追体験するうちに、皮肉にも「ああ俺、こんなに幸せだったんだなぁ。あいつのこと、嫌いになれねぇや」と彼女の素晴らしさを噛みしめることになるのだ。

 

僕自身、男性だからこそよく分かる。我々男にはそういうところがある。恋愛において、よく「女性は上書き保存。男性はフォルダ保存。」と揶揄されることがあるけれど、僕自身自分を顧みても、そして映画を観ても本当にその通りだと思う。多くの女性は、きっとそんな我々を「男ってほんと、バカ。」と言うだろう。

 

確かにそうだね。俺もたまにそう思うよ。しかし、何も悪いことばかりではないんじゃなかろうか。そうやって悔し涙を流し、時に憎み、迫りくる空虚感に力なくタハハと笑った後、「どこまでも相手を思いやり、受け入れよう。」という決意が、心に微かな暖かい火を灯すのである。そしてそんな気持ちこそが、また誰かと心を通わせていく瞬間に繋がっていくのだ。

 

・大事なのは「思いやり、受け入れること。」

 

映画のラストシーン、必死の逃亡も虚しく、ジョエルの記憶からはクレメンタインは綺麗さっぱりと消えてしまう。そんな中、急な衝動に駆られモントーク行きの列車に飛び乗ったジョエル。ジョエルはそこで記憶をなくしたクレメンタインと再会を果たすのだ。

 

何を隠そうこの2人、記憶がないにも関わらずかつて初めて会った思い出の地である、モントークで再開を果たすのである。そしてかつてと同じように愛を深める2人。運命の人は、どうあがいてもいつか出会ってしまう、ということだろう。そしてかつては喧嘩別れしてしまった2人の心の中には、新たに「喧嘩してもいつか別れる日が来てもいい。ただ相手を思いやり受け入れていこう。」という思いが芽生えるのだ。

 

愛っていったい何だろう。相手を好きだと思う気持ち。またはずっと一緒にいたいという気持ち。無償の奉仕の気持ち。きっとどれも正解だし、間違いなんてないだろう。でも実は、これらの根底にある「相手を思いやり、受け入れよう。」とする気持ちこそが、最も大事なのではないだろうか。それがなかなか難しいのだけれどもね。

 

誰かの記憶を消しちまいたいと願う瞬間は、度々訪れる。「後ろを振り向かず、前を向け!」なんて言われることも多いけれど、時々は後ろを振り返ってみるのも悪くない。なんだかそんなことを思い、心が震える1本であった。おすすめです。

 

エターナルサンシャイン DTSスペシャル・エディション [DVD]

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本日のテーマソング

ASIAN KUNG-FU GENERATION/海岸通り

 

 

 

 

僕の好きなパンクロック

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THE BLUE HEARTSの「パンク・ロック」という曲の中に、こんな歌詞がある。

 

僕 パンク・ロックが好きだ

ああ やさしいから好きなんだ

パンク・ロック」より引用 作詞作曲・甲本ヒロト 

 

「パンクが優しい?そんなことはないだろ。」と初めて聴いた時は思っていた。しかし、今なら言える。パンクロックは、優しい。 そしてそんな優しい歌が僕は好きだ。パンクロックの元祖、RAMONESを聴いていて、そんなことを思った。

 

Rocket to Russia

Rocket to Russia

 

 

先日、「久々に初期パンクでも聴こうかな。」と、ふと思い立ち手に取ったのは、RAMONESであった。70年代のアメリカにおいてパンクロックを演奏し、遠く離れたイギリスにまで飛び火したその熱で、パンクロックのムーブメントを作り出した偉大なロックバンドである。

 

「1・2・3・4!」のカウントで飛び出す、衝動のみでかき鳴らしたようなスリーコードのロックンロールは、どれもシンプルながらも熱い。それでいてどの曲も最高にポップ。おまけにラブソングなんかもあったりして、今聴いてもかっこいい。ノリノリで聴いているうちに、こうしたパンクにのめり込み、夢中になって聴いていた高校時代を思い出してしまった。

 

何度かこの日記にて告白しているように、高校時代の僕といえば暗くてイケてない、ボンクラ学生の代表のような奴だったんだよ。田舎の高校であった為、周りはゴリゴリのヤンキーばかりで、常に授業崩壊一歩手前。強ければ生き、弱ければ死ぬ。そんな北斗の拳の世紀末ばりの荒れた環境で、心から「やってらんねぇわ」と思った。そんな環境からとっとと抜け出すべく、猛勉強を開始した。太宰治夏目漱石などの日本文学にハマったりエレキギターを弾き始めたのも、ちょうどその頃だったな。「俺も何かやらかしてぇ。」と、心の中では熱いパッションに満ち満ちていたっけ。

 

恥ずかしながらまたひとつ告白すると、皆さんにもいたでしょう、好きな異性が。そんなボンクラ学生の僕にも好きな女の子というものがいた。アオハルっすね。書きながらすげぇ懐かしい。そして恥ずかしい。

 

いつも皆とニコニコと笑っているような優しい明るい子であった。しかし、皆とワイワイしていながらも、時々どこか所在なさげな表情をしてることがあった。「うーん、困ったなあ。」とも言いたそうなその表情に、ボンクラな俺は撃ち抜かれてしまったのだ。「最高にクールだぜ。」と思った。

 

皆とワイワイしながらも、あの娘も実は「やってらんねぇわ」と思っているのではないだろうか。もしかしたら話が合うのではないだろうか。「ロックとか、私も実は好きなんだよね」なんて言ってくれたりしてな。だったらいいなぁ。そんなん素敵やん。ボンクラ特有の、半ば勝手な思い込みでそんな風に考えていたっけ。完全にバカ。当時に戻ったら真っ先に説教したい。そんな訳ねぇだろ!と今なら思うけれど、当時のボンクラ野郎の僕にそんな考えはない。完全にどうかしていたと思う。

 

そんな時期によく聴いていたのがパンクロック。GREEN DAYRANCIDSEX PISTOLSRAMONESなどの音楽に夢中になった。特に好きだったのがRAMONES。音は古いけれど、衝動だけでかき鳴らしたようなパワーコードにダウンストローク一辺倒な演奏。ポップで時折哀愁のあるメロディ。長めのマッシュルームヘアーにライダースにGパン。全てがストライクであった。

 

そして何より、「お前もやらかしてやろうぜ。」と言われている気がした。スピーカーの向こうで「退屈なんだろ?面白いことやってやろうぜ。」「見せつけてやろうぜ、あいつらによ。」そんな風に歌っているように聴こえた。このままでは貴重な学生生活に思い出もクソもない。RAMONESはそのパンクロックで世界を塗り替え、ムーブメントを作り出した。そしてデビュー以来、衝動に満ちたパンクロックを鳴らし続けて伝説を残したのだ。俺もやるしかねぇ。あの娘にこの想いを伝えねば、と決意した。

 

まあ、結果は結局フラれたんだけどね。何なら在学中、4回くらいしか会話してないからね。全然ダメダメだったんだけどね。何だったんだろうあれは、と思うけどね。しかし後悔は今でもない。男には、例え無理に思えてもやらねばならない瞬間があるもの。いち男性として、ひとつ上の男になれるかどうか。その運命の分かれ道のひとつがあの場面だったと今でも思っている。

 

何も報われなかったけれど、むしろしょっぱい思い出だけれど、決断して立ち向かったその強さは決して無駄ではない。やるかやらないか。戦うか戦わないか。そんな選択において、パンクロックはいつだって「やらかしてやろうぜ。」と僕に向けて歌う。久しぶりに聴いたRAMONESは、当時と変わらず「やらかしてやろうぜ。」と背中を押してくれる心地がした。

 

やっぱり、パンクロックは優しい。そんな優しいパンクロックが、僕は好き。

 

 

本日のテーマソング

RAMONES/HERE TODAY,GONE TOMORROW

 

 

 

 

Climb The Mind 「チャンネル3」を聴いた 毎日はデスマッチの連続だからこそ響く歌を

ここ最近は、Climb The Mindのチャンネル3というアルバムを繰り返し聴いている。LOSTAGEの五味岳久氏が、ブログで紹介していたことがきっかけで聴いた1枚なのだが、一聴してぶっ飛んでしまった。あまりの素晴らしさに、早くも「2018年俺的よく聴いた音楽」にノミネートしそうな勢いだ。

 

シトシトと濡らす雨粒のように、心の隙間にそっと入り込むギターのアルペジオや、その間を縫ってメロディを奏でるベース。どっしりと演奏の基盤を支えるドラム。そしてそこに乗る、淡々としながらもやけに美しく響く歌のメロディ。

 

20代も中盤を過ぎ、時折ガサガサと音をたてひび割れていく心を濡らすように、スッと沁みていく心地がした。

 

チャンネル3

チャンネル3

 

 

・悲しきかな、変わりゆく若き感性

 

年齢を重ねるたびに肉体は勿論、感性も変わっていく。そりゃそうだって話だ。繰り返す毎日の中で、経験は日に日に増えていく。そうやって得た経験や知識は、自身の哲学や思想にも影響を及ぼし見識が広がる一方、見聞きするもの全てに感動していたやわらかでフニフニだった感性も次第に変化していく。

 

何が言いたいかというと、皆さんにも思うところがあるだろう。10代の頃貪るように読んだような、少年漫画や若者に人気の新鋭ロックバンドの音楽なんかが、楽しんで聴けなくなっていくのだ。僕なんぞはひっそりとチェックしては「顔で注目されてるだけじゃないの。全然ドキドキしねぇわ。」とか心の中で悪態をついてばかりだもの。加齢って悲しいね。完全に「最近の若いもんは~」と飲み屋でクダをまくジジイと同化しているからね。そういうのよくないね。どうしてこうなった。

 

しかしだ。何も悪いことばかりではないな、とも思う。見識が広がり感性が変化していくことによって、Climb The Mindのようなバンドに出会って感動できるのだから。きっと10代ではまた違って聴こえたと思う。それが今、こんなに感動できるのだ。感性の変化も、悪いことではない。むしろ最高じゃないか。

 

・渇いた心にこそ、美しい音楽を

 

Climb The Mindは1999年名古屋にて結成されたエモ/ポストロックバンド。3ピースの、ローファイな音の隙間を活かしたような演奏が魅力的だ。音数が少ない分、真っ白な隙間を埋めるように奏でられる、ギターやベースの旋律の美しさにまず耳を奪われてしまう。クリーンな音色でつま弾くギターのプレイや、縦横無尽に曲をリードするベースのメロディアスなフレーズは、まるで心の中にある風景を映し出した水彩画のよう。そしてそこに乗る、ギターボーカル・山内氏の歌がこれまた素晴らしいのだ。

 

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https://youtu.be/k3ak74DqsmE?t=185

 

チャンネル3に収録されている楽曲に、「ポケットは90年代でいっぱい」という1曲がある。これがまた、ビックリするような名曲だ。心の柔らかい部分に沁みていくアルペジオの旋律に乗せて、子どもの頃に歌った合唱曲や童謡のように優しいイノセントなメロディで、

 

叶わない大きな思いがあるってことをやっぱり持っていて

瞼を開けたら もう本当にいないのか

 

と歌い出しから問いかける。そして曲の中盤で、

 

溢れる思いは遠くを眺めていた

いつか叶う

(「ポケットは90年代でいっぱい」より引用 作詞作曲・山内幸次郎)

 

と、一連の問いかけを締めくくるのである。何だか、胸がいっぱいになってしまった。酸いも甘いも経験して渇いてしまった心に、10代の頃とは変わってしまった凝り固まった感性に、「安心していいよ。」「大丈夫だよ。」と優しく声をかけるような歌。こんな風に優しく心に響くのも、正に経験を積み重ねてきたからこそだろう。

 

一切合切、全てのものは変わりゆく。そんな過程で、なくしてしまうものや乾いていくものも多いけれど、きっと素敵なものに出会うことも同じくらい多いのではないだろうか。それだけで、全然悪くない。むしろ、出会えて良かったと思える。Climb The Mindのチャンネル3を聴いて、そんなことを思った。

 

・年を重ねても、音楽に心をゆだねてもいいんじゃない?

 

傷つき転んでも、ひとりで立ち上がり続ける心の美しさを歌う「心のすべて」や、決意する強さを歌いながら、その中にある綺麗に澄んだ心象風景を描き出したようなギターの旋律が光る、「泥棒」などの名曲に続いて、アルバムは比喩的な言葉遊びが見事な「デスマッチ」で幕を閉じる。

 

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https://youtu.be/UKC50J6A0YY

 

Climb The Mindのチャンネル3。酸いも甘いも悲しみや喜びをも経験し、たどり着いた心の澄んだ部分にこそ響くアルバムだと思う。もう最高にエモい名盤だ。ここでいうエモ、とは「感情的・衝動的な音楽」という意味のエモではない。「心の奥にある感情を揺さぶる」という意味のエモだ。

 

感性は絶対に変化する。そんな必然ともいうべき流れの中で、「昔みたいに音楽聴かなくなっちゃったなぁ~」というロックファンの方もいることだろう。しかし、そんな方にこそぜひともClimb The Mindをおすすめしたい。デスマッチの連続の如き毎日を戦ってきた、あなただからこそ響く音楽もあるのだ。ロックの衝動にブチ抜かれ、身も心もゆだねてきた10代の頃のように、時には音楽に心をゆだねてもいいんじゃないかな。

 

なんだか最後押し付けのようになってしまった。Climb The Mind、とても素敵なバンドなのでぜひともおすすめです。

 

本日のテーマソング

NIRVANA/Drain You

 

 

 

 

俺的好きなジャズマスター使用ギタリスト4選

御覧のギタリストの皆様は、どんなギターがお好きでしょうか。人それぞれ、好きなギターがあると思う。僕はフェンダージャズマスターが大好きだ。愛していると過言ではない。その愛は枯れることなく、以前こんな日記を書いたくらいだ。

 

kawabeko1991.hatenablog.com

 

そこで今回はそんな記事の続編として、僕の好きなフェンダージャズマスターを使用するギタリストを、一方的に紹介していきたい。順不同。皆違って皆良い。今も多くのギタリストを虜にし続けている大人気のフェンダージャズマスター。そんなジャズマスターを使用するアーティストを紹介し、統括することで、何か知られざる好みなどが見えてくるかもしれない。それでは、気合入れていってみましょう。

 

ヤマジカズヒデdip)

 

まず始めに紹介するジャズマスター使用ギタリストは、日本が誇るオルタナティブロックの重鎮・dipのギターボーカルヤマジカズヒデ氏。以前ライブを観たことがあるのだけれど、ジャズマスターから繰り出される素晴らしいリフの嵐に圧倒されてしまった。時にサイケデリックに、時にソリッドに、時にロックンロールに、次々に飛び出すギターリフを主導にして、グイグイ引っ張っていくような楽曲展開。かっこいい。引き出しというか、音楽のバックグラウンドの広さに驚いた。

 

よくギターを弾きながら歌うボーカリストを指して、ギターボーカルと呼ぶことがあるけれど、ヤマジカズヒデ氏のプレイが正にそれ。ボーカルギターではなくて、あくまでギターボーカル。飄々とクールに歌いながら、鬼神の如き数々のギターリフを弾き倒す姿は、ギターボーカルの表現がふさわしい。

 

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https://youtu.be/RZKdwj1mY9w

 

大山純(ex-ART-SCHOOLストレイテナー

 

次に紹介するジャズマスター使用ギタリストは、元ART-SCHOOLで現在はストレイテナーのギタリスト、OJこと大山純氏。僕はART-SCHOOL時代より、大山純氏の大ファンなのだ。退廃的ながらも美しい楽曲の世界観にピッタリとマッチした、コーラスやディレイを駆使した音作りに、印象的なアルペジオのフレーズ。ART-SCHOOLにて、今でも代表曲として演奏される数々の名曲のギターリフを生み出した、彼の功績はデカ過ぎる程デカい。

 

ガンガンと前へ出て弾き倒すタイプのギタリストではないけれど、その曲の持つ雰囲気やフィーリングを汲んで、曲をより美しく、魅力を最大限引き出すようなギターを弾く、職人肌なギタリストだと思う。

 

KILLLER TUNEやMelodic Stormなどのストレイテナーの過去の曲でも、まるで始めからそこで鳴っていたかのように、楽曲に寄り添ってジャズマスターを弾く大山純氏の姿がとにかくかっこいい。アルペジオや単音のフレーズを織り交ぜながら、時に美しく、時に激しく弾くギターが構築する世界観に、何か只ならぬものを感じてしまうのである。数あるジャズマスター使用ギタリストの中でも、特に憧れるギタリストのひとり。

 

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https://youtu.be/cMvDIebFKOc

 

吉村秀樹bloodthirsty butchers)

 

お次はbloodthirsty butchersのギターボーカル、吉村秀樹氏。惜しくも亡くなってしまったが、数々の名曲を送り出してきた素晴らしいソングライター、ボーカリストであり、何より偉大なギタリストだ。

 

言葉による説明など不要だとばかりに、ジャズマスターから鳴らされるコード一発で、またはそこから発せられるノイズやフレーズなどで心の中にある情景を描き出す、まるで絵描きのようなギタリストだと思う。弾くギターの、その説得力の凄さよ。

 

今自分がいる場所が部屋だろうが外だろうが、吉村秀樹氏がひとたびコードを一発鳴らせば、全く違う場所にいるかのように、見える景色がガラリと変わるのだ。心象風景を描いたような詩的な歌詞も相まって、bloodthirsty butchersの音楽を聴くたびに、ギターの音色が心の繊細な部分にすっと染み込んで溶けていくような気がする。

 

ギタリストということすらおこがましいへたっぴな僕だけれど、いつか吉村秀樹氏のような、生き様や心の中を鮮明に映し出すギターを弾けたらいいな、といつも思う。

 

kocorono完全盤(紙ジャケット仕様)

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田渕ひさ子(ex-NUMBERGIRLbloodthirsty butcherstoddle)

 

最後は以前の日記でも紹介したジャズマスター使用ギタリスト、田渕ひさ子氏だ。バックで演奏をしっかりと支えながらも、時折繰り出される、曲の世界観を如実に表したような印象的なフレーズや、エッジの効いたソロがかっこいい。かつて、こんなにかっこいい女性ギタリストがいただろうか。普段ののほほんとした雰囲気と打って変わって、ギターを弾く時の血気迫ったプレイは長年の憧れである。

 

何を隠そう、僕はそんな田渕ひさ子氏のジャズマスターさばきに惚れて、ジャズマスターを購入したのだ。その頃若干二十歳。それまでエピフォンのレスポールを使用していたのが、ジャズマスターを弾くきっかけになったギタリストだ。機材も同じボスのブルースドライバーを使用しているのが分かって、嬉しかったなあ。

 

NUMBERGIRlbloodthirsty butchersにおいても素晴らしいのが、それぞれ曲にマッチしたフレーズを奏でながらも、一聴してそれと分かる田渕ひさ子氏のギタープレイだ。向井秀徳氏や吉村秀樹氏など、パンチのあるフロントマンの隣にいても、決して埋もれない武器や個性を兼ね備えた素晴らしいギタリストだと思う。NUMBERGIRlのサッポロOMOIDE IN MY HEAD状態は、そんな彼女の魅力が凝縮された1枚。

 

ライヴ・アルバム ?サッポロ OMOIDE IN MY HEAD 状態

ライヴ・アルバム ?サッポロ OMOIDE IN MY HEAD 状態

 

 

・情景の見えるようなギターを弾くそんなあなたが好き

 

さてさて今回は、「俺的好きなジャズマスター使用ギタリスト4選」と題して、好きなジャズマスターを使用するアーティストについて語ってきましたが、いかがだっただろうか。楽しんで頂けたのなら、これ幸い。

 

こうして記事にして、僕は情景の見えるような、一聴してその人と分かる世界観のあるギターを弾くプレイヤーに心惹かれるのだなあ、と改めて気付いた。そしてジャズマスターを使用するアーティストにはそんなギタリストが多い。ギター並びにジャズマスターって、とても面白いですね。彼らのギターをコピーしたくてオラ、ワクワクしてきたゾ。

 

まだ未聴の方がいたら是非ともチェックして欲しい。そして深いジャズマスターの沼に一緒に落ちていこうではないか。

 

本日のテーマソング

ストレイテナー/The Place Has No Name

 

 

 

 

 

 

熊倉献 『春と盆暗』を読んだ 空想好きの全てのボンクラ男子たちに 

最近は読書欲がやけに高まり、小説にエッセイや漫画など、ジャンルに関わらずに書籍をむさぼり読んでばかりいる。そんな中、春と盆暗という1冊の漫画を読んだ。空想と現実を行ったり来たりする、何とも不思議な世界観が実に魅力的な1冊であった。空想好きの、そしてまるでエイリアンの如き不思議女子が好きな、全てのボンクラ男子にこそ読んで欲しい漫画だ。

 

春と盆暗 (アフタヌーンKC)

春と盆暗 (アフタヌーンKC)

 

 

突然ですが、皆さん空想ってしますか?僕はというと、実はめちゃくちゃする。小学生時代などは、「白い部分踏み外したら、落ちて死ぬ!」などと言いながら道路の横断歩道の白い部分のみを踏んで渡る、なんてことばかりしていた。「地面にはサメがうようよいるから、地面につかないようにして帰ろう!」とか言うパターンもあったっけ。そんな時、僕の目に映る景色は本当に、断崖絶壁やサメだらけに見えたものだ。イマジネーションが豊か過ぎる程豊かな、浦安鉄筋家族ばりのリアルバカ小学生だったな、と思う。

 

頻度こそ当時より減ったものの、そんな空想を現在でも頭に浮かべることがある。例えば片頭痛に襲われるたびに、医薬品のCMに登場するような、痛み成分を模したキャラクターが脳内で暴れまわる映像が浮かぶし、部屋でギターを弾けば基本ロックスターになったつもりで弾いている。勿論目の前にはファンの山だ。「もしアイドルやアニメキャラが同じ職場だったら?」なんてお題が出されようものなら、友人たちと殴り合い寸前の白熱したテンションで延々と語り合える。最近も女優の吉岡里帆さんともしバイト先が一緒だったらどんな風に仲を深めていくか、という議題で熱く議論したばかりだ。もう何かそんな自分が気持ち悪い、いい加減現実的になれよ!と言いたい、何てイマジネーション空想野郎だ、俺は。

 

そんな空想好きのボンクラ男子代表の如き僕にとって、この春と盆暗は実にぴったりな1冊であった。1話完結の読み切り形式で描かれるのは、ボンクラ男子とまるでエイリアンのような不思議女子とのボーイミーツガールなストーリーだ。モヤモヤするたびに月に道路標識をブン投げる空想をする女子や、息苦しくなるたび水中に沈んだ自分を空想をしてしまう女子など、登場する女性は皆一癖も二癖もあるキャラクターばかり。そんな女子の「頭の中や心を掴む為にはどうしたら良いのか?」と、ぼんやりしながらも奔走するボンクラ男子たちがまた愛おしい。

 

所謂ラブコメのような分かりやすいドキドキ展開やエロはなく、独特の空想世界と現実世界を行ったり来たりを繰り返しながら、物語はあくまでも淡々と進行する。だが、それが良い。エイリアンの如き不思議女子とボンクラ男子の恋模様に、煌びやかなラブコメ描写などむしろ不要だろう。彼女たちの内面は分かりそうでちょっと分からなくて、手が届きそうで届かなかったり、時に届いたりする。どう転がるか全く予想は出来ない。何せ君はエイリアンで僕はボンクラ。君は一体何を考えているんだろう。描かれるのは一貫した、そんな僕と君との何気なくも時にほっこりとするような心象風景。そして作品内のボンクラ男子たちは、そんなちょっと変わった不思議女子に惹かれて奔走するのだ。

 

ドキドキ展開やエロはなくとも、ポップでキュートでどこか毒もある。それでいてほんのりと爽やかな読後感。頭にではなく絶妙に感覚に訴えかける作品世界は、どこか文学の香りさえ漂っている気がしてならない。

 

「何か面白い漫画ないかなー」という方や、昨今のラブコメに食傷気味の方に空想好きの方。そして何より、ちょっと変わった不思議女子に何故か惹かれてしまう僕を含む全てのボンクラ男子に、おすすめの作品である。ぜひ。

 

本日のテーマソング

スピッツ/惑星のかけら

 

 

 

 

ラブライブ!サンシャイン!!を観て思う 彼女らと同じく俺たちもまた輝きたいのだ

大晦日も過ぎ、いよいよ2018年がスタートしましたね。皆様新年あけましておめでとうございます。今年も飛躍の年にしてぇ、輝きを求めて行きてぇ、と今から気合がみなぎっている所存でございます。

 

さてさてそんな訳で2018年の幕が上がった訳だが、2017年の年末はいかがお過ごしだっただろうか。僕はというと今回も何かと慌ただしい年末だったが、深夜に再放送されていたアニメ・ラブライブ!サンシャイン!!を観て、明日への活力をチャージしたりしていた。僕が今年も無事に新年を迎えられたのは、ラブライブ!サンシャイン!!のお陰といっても過言ではない。ありがとう、ラブライブ!サンシャイン!!。ビバ!ラブライブ!サンシャイン!!。

 

何を良い年した大人がラブライブ!サンシャイン!!連呼しているんだ、キモ、あっちに行け!という声が聞こえて来そうだ。どうかブラウザバックしないでくれ。俺の話を聞いてくれ。

 

深夜、何気なくテレビを眺めていると始まったラブライブ!サンシャイン!!の再放送だが、始めは僕もそう思った。「もう俺はアニメ観てキャッキャッ出来ないわ、チャンネル変えるべ」と、思いリモコンに手を伸ばした。しかし、田舎の普通の女子高生である登場人物たちが「私たちも輝きたい!」と、スクールアイドル・Aqoursとして、涙あり笑いありの青春を全力全身で駆け抜けていく様に、目が離せなくなってしまった。気が付くと再放送された全話を観終えてしまった。とても面白かった。いつの間にか、輝きたい!と奮闘する彼女らに勝手に心を重ねてしまっていた。輝きたい!と願う、心の奥底にあるアツいエモーションを刺激されてしまったからだ。

 

スクールアイドルこそ目指してはいないものの、自身の日常を送る僕らにも、そんな輝きたい!という思いは存在する。思えば、子どもの時分からそうだった。小さい頃の僕といえば、とにかく仮面ライダーウルトラマンに憧れ、悪を挫く正義のヒーローになりたい、カッコ良くなりたいと、常に願っていたように思う。10代になるとイケてないボンクラ学生ながら、カッコ良い各国のロックスターたちに憧れ、「俺もこんな風に何かやらかしてみてぇ」とギターを手に取り、バンドを始めた。歌もギターも引く程ヘッタクソだったけれど、「カッコ良かったよ!」「面白かったよ!」と声を掛けられるとたまらなく嬉しかった。

 

要はしょぼくてしょうもない、そんな自分ではない何者かになりたかったのだ。しかしそんな変身願望もある一定の年齢になると、どこまで行っても結局は自分は自分でしかなく、いつだって自分の持っているカードで勝負しなくてはならない、ということにはたと気が付くのだ。一見華やかに見える仮面ライダーウルトラマンやロックスターもまた人間。急に生活が180度変わるような魔法や変身はなく、結局は自分は自分のままに変わりながら、勝負していく他ない。いつかoasisがSupersonicにて歌っていたように、あくまで自分自身のまま、人生という荒波を戦っていかなくてはならないのだ。

 

人間の生活は時として困難に阻まれることも多い。そんな時、心にある輝きたい!という思いはシュルシュルと音を立ててしぼんでいき、いつだって目の前のことだけでいっぱいいっぱいになってしまう。心なんぞはポキポキと簡単に折れてしまう。しかしそんな時こそ心を強く持ち、負けてられねぇわと、まだまだ終わってねぇのだと、俺たちだって輝きたいのだと、歩いて行きたいではないか。かつて憧れた正義のヒーローや、偉大なロックスターたちがあの頃僕らに教えてくれたのは、そんな強さとエモーションだったのではなかったか。

 

忙しさに我をも忘れてしまうかのような年末、忘れかけていたそんなエモーションに気付かせてくれたのは他でもない、ラブライブ!サンシャイン!!だったのだ。彼女たちは諦めない。襲い来る様々な困難にも負けずに、輝きたい!の一心で、普通の女子高生ながら立ち向かっていく。そうして始めこそボロボロだったが、1期最終話では圧巻のパフォーマンスで多くのオーディエンスを圧倒するのだ。あくまでも、自分自身のまま。輝きたい思いを胸に、ひとつひとつ壁を乗り越えて。

 

「そうだ、彼女たちと同じく俺たちもまた輝きたいのだ!」と、年と共に忘れかけていた青春のきらめきや、輝きたいと追い求める情熱を思い出したような心地がした。2018年、気持ちも新たに輝きを求めて行こうじゃないか。胸の高鳴る方へ、歩いていこうではないか。ひとつひとつ自分自身のままで。そうしたらきっとまた、何かが始まっていくはずさ。いや、きっと何かが変わる。そんな気がしている。皆様2018年もよろしくお願いしますね。

 

 

 本日のテーマソング

DOPING PANDA/Crazy

 

 

 

 

 

 

 

俺的2017年よく聴いた音楽大賞10選

年末も深まり早くも大晦日。2018年も数時間後に迫って来ましたね。そこで今年2017年の締めくくりとして、今年よく聴いた音楽を10グループに絞って紹介したいと思う。しかしあくまでも、俺的2017年よく聴いた音楽大賞である。2017年リリースの新譜は勿論のこと、過去にリリースされた作品も全て含めて、僕が「今年よく聴いた音楽」を余すことなく、思いのままに紹介していきたい。新年のレンタルの参考にするも良し、「なるほどねぇ、アツいねぇ」と読むのもまた良しだ。

 

そんな風によく聴いた音楽を紹介することで、2017年がどんな年だったのかまた違った形で見えてくるはず。そんな調子で今年1年を総括していこうではないか。それでは早速、気合入れていってみましょう。以下、10選いっくよん!

 

LOSTAGE/In Dreams

 

まずは今年満を持して発売されたLOSTAGEのIn Dreamsから。一般の販売店では流通させず、自身の運営するTHROAT RECORDSの店舗や通販、またライブ会場のみでの販売に挑戦した本作。

 

内容も本当に素晴らしく、LOSTAGEらしいゴリゴリに攻めた楽曲がカッコ良いのは勿論のこと、「窓」や「ポケットの中で」や「僕のものになれ」といった楽曲たちから伝わる優しさに何度勇気付けられたことか。何か始めようとする時やここ一発の力が欲しい時など、日常にある些細な場面で何度もそっと背中を押して貰った気がする。

 

syrup16g/delaidback

 

今年発売の本作delaidback。未発表曲を集めたアルバムながら、ただの未発表曲集ではなく、syrup16gが持つ魅力や底力がふんだんに盛り込まれた凄いアルバムだと思う。絶え間なく続く生活の奥底にある、絶望や希望に情けなさやエモーションなど、様々な感情が浮かぶようなアルバムで、一時期狂ったように聴いていた。

 

鬱ロックだなんて言われがちだけれど、そんな薄っぺらな言葉では表現しきれない、ふとした瞬間に気付く人間の複雑な内面が様々映し出された万華鏡のような1枚だ。再結成後リリースした作品の中で、個人的に1番好きなアルバムでもある。

 

delaidback

delaidback

 

 

THE YELLOW MONKEY/THE YELLOW MONKEY IS HERE.NEW BEST

 

今年リリースした再録ベスト。中学時代、夢中になって聴いていたTHE YELLOW MONKEYのギラギラとした過剰さとエロさに代わって、大人の余裕とロックンロール感のある良い意味でラフな演奏がぎっしりと詰まっていて、これがもう滅茶苦茶カッコ良い。

 

今年、以前まで勤めていた会社を退職した際には、「プライマル。」をテーマソングのように聴いていったっけ。元はイエモン解散時にリリースした曲だけあって、聴くたびに退職した際の不安と期待が入り混じる心情にリンクしてしまう。収録されている「プライマル。」は、当時抱えていたであろう葛藤も未練も1週したように爽やかで楽し気で、漂うそんな優しさに僕自身も背中を押されるような心地がしたものだ。

 

 

銀杏BOYZ/エンジェルベイビー

 

今年3か月連続シングルリリースを成し遂げた銀杏BOYZの、記念すべき1発目のシングル。3作リリースされた中では、これが1番好き。峯田氏も僕らファンも、同じように年を重ねて今では立派な大人になってしまったけれど、それでも変わらずにロックンロールへの愛を、ロマンチックに歌う姿に心を打たれてしまった。もうね正直に白状すると、初めて聴いた時には思わず泣いてしまったもん。

 

時間が経って大人になっても、変わらぬ悶々とした思いはやっぱり今でもある訳で。しかしそんな思いもそのままに、まるで「僕ら大人になってしまったけれど、それでもまだいけるよな!」と言われているような1曲で、初めて聴いたあの頃と同じく聴くたびに胸がギュッと締め付けられてしまう。最高か。

 

エンジェルベイビー(通常盤)

エンジェルベイビー(通常盤)

 

 

THE BACK HORN/イキルサイノウ

 

今年はやたらにバックホーンばかり聴いていた気がする。特によく聴いたのがこちらのイキルサイノウ。バックホーン特有のドロドロとしたある意味グロテスクな世界観はそのままに、儚さや優しさ、生きることの力強さなんかもひしひしと感じられて、落ち込んだ時なんかによく聴いたものだ。

 

アルバム全体の流れも素晴らしく、特に9曲目の「赤眼の路上」が狂おしいくらいに好き。儚くも泥臭い演奏に、

 

死にゆく勇気なんかない それなら生きるしかねえだろ

作詞作曲THE BACK HORN 「赤眼の路上」より引用

 

と、力強さに溢れた歌詞を叫ぶボーカル。ビリビリと伝わってくるアツいエモーションによって、シュルシュルとへこみ小さく萎んだ心に、徐々に火が付いていくのを感じる。聴くたびに負けてらんねぇわ、とアツい気持ちが蘇ってくるのである。今年何度も聴いたけれど、これからもずっと聴いていくであろう名盤。

 

イキルサイノウ

イキルサイノウ

 

 

65daysofstatic/The Destruction Of Small Ideas

 

今年はポストロックに目覚めた1年でもあった。特に65daysofstaticをよく聴いた。静と動を繰り返しながら、時に儚く時に激しく飛び回るピアノやギターのメロディが美しい。 一見無機質なように見えて、徐々に広がっていく叙情的な音の景色にうっとりとさせられてしまった。

 

中でも初めて聴いたこのアルバムがすごく好き。人恋しくなる深夜にピッタリで、ふと寂しくなるたびによく聴いた。歌が無くても演奏のみでこんなに心に響く音楽があるのかと、驚いたもの。ライブがあれば是非観に行きたいバンドのひとつだ。

 

The Destruction Of Small Ideas

The Destruction Of Small Ideas

 

 

Jimmy Eat World/Futures

 

友人から借りて聴いて、ビックリしたのがJimmy Eat Worldのこのアルバム。2016年にエモ系のバンドにハマってから、色々なバンドを聴いたけれど、やはりJimmy Eat Worldは最高にカッコ良い。秋口の何だかおセンチな気分の時や、「エモ系が聴きてぇな」という気分の時に本当によく聴いた1枚だ。

 

こちらも各曲は勿論、アルバム全体の流れが素晴らしい。特に「Work」から「Kill」の流れが凄まじく良いのだ。静かに始まる緩やかな出だしから突入する、疾走感のあるセンチメンタルなメロディのサビ。「最高かよ!」と毎度思ってしまう。音楽的にはよく用いられる手法だけれど、流石は王者Jimmy Eat World。カッコ良くセンチメンタルかつ叙情的に魅せてくれる。

 

Futures

Futures

 

 

・DRIVE LIKE JEHU/YANK CRIME

音楽好きにはあるあるな、音楽を次々と遡って聴いていく旅の中で、エモの流れで今年発掘したのがこちらのDRIVE LIKE JEHUのアルバム。複雑な構成の曲展開ながら、ひたすらに疾走し続ける楽器陣のソリッドな演奏が、とにかくカッコ良いポストハードコアバンドだ。

 

特に「Golden Brown」という曲が好きで、何度も聴いた。何とも形容しがたい不思議なメロディの中で、ふとした瞬間に香るキャッチーさが中毒性抜群で、飽きずにひたすら繰り返し聴いていたっけな。何度聴いても新たな「カッコ良い!」が見つかる、そんな中毒性のあるバンド。

 

Yank Crime

Yank Crime

 

 

Led Zeppelin/Led Zeppelin Ⅳ

 

振り返ってみれば今年は、これまであまり聴いてこなかった60年代や70年代のアーティストもよく聴いた1年だった。現在26歳の若輩者故、所謂ロックンロールのムーブメントをリアルタイムで体験していないのだけれど、それでもこのアルバムを聴いて、当時のリスナーの受けた衝撃に妙に納得してしまった。いやだって、こんな凄いアルバム聴いたらそりゃ絶対ビックリするでしょ。2017年の今聴いてもビックリしたんだもの。それくらい今年聴いた中で衝撃を受けた1枚。

 

曲も演奏も、当時のメンバーのビジュアルも、全てにおいてちょっとこれはカッコ良すぎじゃないだろうか。特に「Stairway To Heaven」の今にも空に昇っていくようなギターソロ。カッコ良すぎでしょ。ジミー・ペイジのこの曲のギターには、確実にロックンロールの魔物が宿っていると思う。個人的に、この曲をギターで完コピするのが2018年の目標のひとつである。

 

Led Zeppelin IV [REMASTERED ORIGINAL1CD]

Led Zeppelin IV [REMASTERED ORIGINAL1CD]

 

 

・Catfish And The Bottlemen/The Balcony

 

2017年の夏頃に最も僕の心を掻っ攫ったのが、彼らCatfish And The Bottlemen。今年2017年の夏はCatfish And The Bottlemenと共にあった、と言っても過言でないくらいヘビロテして聴いていた。

 

00年代のロックンロールリバイバルのバンドたちのような熱い無骨さと、UKのバンドらしいクールなスタイリッシュさも同居した音作り。照り付ける暑い太陽の下で、爆音で聴くCatfish And The Bottlemenの音楽は、そんなロケーションにぴったりで実に気持ち良かったのを覚えている。

 

ザ・バルコニー

ザ・バルコニー

  • アーティスト: キャットフィッシュ・アンド・ザ・ボトルメン,キャットフィッシュ&ザ・ボトルメン,ヴァン・マッキャン
  • 出版社/メーカー: Hostess Entertainment
  • 発売日: 2014/10/15
  • メディア: CD
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・音楽の鳴り響く1年だった2017年

 

何気なく書き始めた、この俺的2017年よく聴いた音楽大賞10選だけれど、こうして見ると「とにかく音楽の鳴り響く1年だったなあ」と感じる。退職もあって、悩みや葛藤や決断もこれまで以上に多い1年だったけれど、振り返ればその分、日常の中の様々な場面で心にはいつも音楽があったのだと改めて思うのである。励まされたり勇気付けられたり、時に浸ったり。やたらに泥臭くてアツい音楽やセンチメンタルな音楽に、優しい音楽が多いのがその辺りを如実に物語っていますね。

 

2018年はどんな音楽に出会うのか。そしてこれからどうなっていくのか。まだまだ先は分からないけれど、2018年も目標に向かって歩を進めていけたら良いな。希望を胸に2018年もドーンといこうではないか、ドーンと。もう今から気合に満ち溢れている。まだ見ぬ2018年も希望を込めて、皆様来年もよろしくお願い致します。

 

本日のテーマソング

GOING STEADY/銀河鉄道の夜